フリーランスは届出なしでも大丈夫?開業届を出さないデメリットと必要な手続きを解説
はじめに
フリーランスとして仕事を始めたものの、「開業届を出していない」「届出なしのまま報酬を受け取っている」という人は少なくありません。特に、副業から始めた人や、最初は小さな案件だけ受けていた人ほど、「まだ本格的ではないから大丈夫」と考えがちです。
結論からいうと、フリーランスは開業届なしでも仕事を受けること自体は可能です。ただし、事業として継続的に収入を得ている場合は、税務上の手続きや確定申告の確認が必要になります。開業届を出していないことと、確定申告をしなくてよいことはまったく別です。
この記事では、「フリーランスは届出なしでも大丈夫なのか」という疑問に対して、開業届を出さないデメリット、必要な手続き、今からやるべき対応をわかりやすく解説します。
1. フリーランスは届出なしでも大丈夫?まず結論を解説
1-1. 開業届を出していなくても仕事自体はできる
フリーランスとしてライター、デザイナー、エンジニア、動画編集者、コンサルタントなどの仕事を受ける際、開業届を提出していないからといって、仕事そのものが禁止されるわけではありません。業務委託契約を結んだり、請求書を発行したり、報酬を受け取ったりすることは、届出なしでも実務上は可能です。
そのため、「まだ開業届を出していないけれど、すでに案件を受けている」という状態は珍しくありません。特に副業フリーランスの場合、最初は単発案件から始まり、気づいたら収入が増えていたというケースもあります。
ただし、仕事ができることと、税務上の手続きをしなくてよいことは別です。収入が発生している以上、売上・経費・所得を整理し、必要に応じて申告する義務があります。
1-2. ただし事業を始めたら開業届の提出対象になる
フリーランスとして継続的に収入を得る活動を始めた場合、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届を提出する対象になります。国税庁の案内では、個人が新たに事業を開始したときの手続きとして、個人事業の開廃業等届出書が示されています。提出期限は、事業開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとされています。国税庁+1
つまり、フリーランスとして「継続して仕事を受ける」「売上を得る」「事業として活動する」状態になったら、開業届を提出するのが基本です。趣味の延長で一度だけ収入があった場合などは状況が異なりますが、継続性・反復性があるなら、届出を検討すべき段階といえます。
1-3. 開業届を出さなくても罰則はないがデメリットはある
開業届を出していないからといって、すぐに罰金が科されるわけではありません。そのため、「届出なしでも問題ないのでは」と考える人もいます。
しかし、開業届なしの状態を続けると、青色申告の準備が遅れたり、屋号付き口座を作りにくかったり、融資・補助金・共済制度などの手続きで事業者であることを示しにくかったりします。つまり、罰則の有無だけで判断するのではなく、事業を続けるうえで不利になる点を理解しておくことが大切です。
1-4. 「届出なし」と「確定申告なし」は別物
フリーランスが最も注意すべきなのは、「開業届を出していないから確定申告もしなくてよい」と誤解することです。開業届は事業開始を知らせるための届出であり、確定申告は1年間の所得と税額を計算して申告する手続きです。
国税庁は、所得金額を正しく計算して申告するために、収入や必要経費に関する日々の取引を帳簿に記帳し、書類を保存する必要があると説明しています。これは、開業届を出しているかどうかにかかわらず、収入がある人に関係する重要な考え方です。国税庁
2. フリーランスが届出なしで活動しているとどうなる?
2-1. 税務署からすぐに催促されるとは限らない
開業届を出していないからといって、税務署からすぐに「開業届を提出してください」と連絡が来るとは限りません。特に収入が少ない時期や、副業として小規模に活動している時期は、何も起きないように感じることもあります。
しかし、取引先から支払調書が発行されたり、銀行口座に継続的な入金があったり、プラットフォーム経由で報酬を受け取っていたりすれば、収入の記録は残ります。届出なしだから収入が把握されない、という考え方は危険です。
2-2. 収入がある場合は確定申告が必要になるケースがある
フリーランスとして売上がある場合、売上から必要経費を差し引いた所得を計算し、確定申告が必要かどうかを確認します。所得が一定額を超える場合や、源泉徴収された税金の精算が必要な場合などは、確定申告の対象になります。
会社員ではなくフリーランス専業として活動している人は、基本的に自分で所得を計算し、申告の要否を判断しなければなりません。売上が少なくても、帳簿をつけていなければ正確な所得がわからないため、早い段階から売上・経費の管理を始めることが重要です。
2-3. 副業フリーランスでも所得額によって申告が必要
会社員が副業でフリーランス収入を得ている場合も、所得額によっては確定申告が必要です。国税庁は、給与所得者について、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える場合などに確定申告が必要になるケースを示しています。国税庁
ここでいう「20万円」は売上ではなく、原則として売上から必要経費を差し引いた所得です。たとえば、副業の売上が40万円でも、必要経費が25万円なら所得は15万円です。一方、売上が25万円でも経費がほとんどなければ、所得が20万円を超える可能性があります。
また、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。自治体によって案内が異なるため、給与所得以外の所得がある人は、住所地の自治体の情報も確認しましょう。名古屋市の案内でも、給与所得以外の所得が20万円以下の場合であっても、市民税・県民税の申告が必要と説明されています。名古屋市公式ウェブサイト
2-4. 無申告や申告漏れはペナルティの対象になる
問題になるのは、開業届を出していないことそのものよりも、本来必要な確定申告をしていないことです。確定申告が必要なのに申告しなかった場合、無申告加算税や延滞税などの対象になる可能性があります。
国税庁は、税務署からの調査の事前通知前に自主的に期限後申告をした場合でも、納付すべき税金に5%を乗じた無申告加算税がかかると説明しています。また、調査の事前通知後などは割合が上がる場合があります。国税庁
「開業届を出していないから収入も申告しなくてよい」と考えていると、あとから税金とペナルティをまとめて負担することになりかねません。不安がある場合は、早めに過去の売上と経費を整理しましょう。
3. フリーランスが開業届を出さないデメリット
3-1. 青色申告特別控除を受けられない
開業届を出していない人は、同時に青色申告承認申請書も出していないことが多いです。この場合、青色申告の特典を利用できず、白色申告で確定申告を行うことになります。
青色申告では、一定の要件を満たすことで最高55万円、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告などの要件を満たすことで最高65万円の青色申告特別控除を受けられます。簡易な要件の場合でも最高10万円の控除があります。国税庁+1
フリーランスにとって、所得から控除できる金額が増えることは節税に直結します。届出なしのまま青色申告の準備をしていないと、この大きなメリットを逃す可能性があります。
3-2. 赤字の繰越しができない
青色申告者には、事業所得などで赤字が出た場合、一定の条件のもとで純損失を翌年以後3年間繰り越して、各年分の所得金額から控除できる制度があります。国税庁
開業初年度は、パソコン、ソフトウェア、机、椅子、広告費、学習費、外注費などの支出が先行し、赤字になることもあります。青色申告の準備をしていれば、翌年以降に黒字化したときの税負担を抑えられる可能性がありますが、白色申告では原則としてこのメリットを使えません。
3-3. 屋号付きの銀行口座を作りにくい
フリーランスとして取引先から報酬を受け取る場合、プライベート口座と事業用口座を分けておくと管理が楽になります。さらに、屋号付きの銀行口座があると、請求書や契約書の印象が整い、事業としての見え方もよくなります。
しかし、屋号付き口座を作る際には、開業届の控えや事業内容がわかる書類を求められることがあります。届出なしの場合、事業実態を示す資料が不足し、口座開設の手続きがスムーズに進まない可能性があります。
3-4. 事業者向けの融資・補助金・助成金で不利になる場合がある
フリーランスとして事業を拡大する際、融資や補助金を検討することがあります。たとえば、設備投資、広告宣伝、ホームページ制作、業務効率化ツールの導入などで資金が必要になるケースです。
そのとき、事業開始日、事業内容、売上実績、確定申告書、開業届の控えなどを求められることがあります。届出なしのままだと、事業者としていつから活動しているのかを説明しにくく、審査や申請で不利になる可能性があります。
3-5. 小規模企業共済などの制度を利用しにくい
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者などが将来の退職金代わりに活用する制度です。加入手続きでは、個人事業主であることを確認するため、確定申告書の控えや、開業まもない場合は開業届の控えなどを求められることがあります。事業主の退職金制度はekyosai.jp |
届出なしの場合、こうした制度を利用したいと思ったときに、事業者であることを証明する書類が不足する可能性があります。将来的に節税や老後資金対策を考えるなら、早めに事業者としての書類を整えておくことが大切です。
3-6. 社会的信用を示しにくい
フリーランスは会社員と違い、勤務先の名刺や雇用契約で信用を示せるわけではありません。そのため、開業届の控え、確定申告書、請求書、契約書、事業用口座などが、事業者としての信用を補う資料になります。
もちろん、開業届を出しただけで信用が大きく上がるわけではありません。しかし、届出なし・帳簿なし・申告なしの状態では、取引先や金融機関に事業の実態を説明しにくくなります。
4. フリーランスが開業届を出すメリット
4-1. 青色申告で節税しやすくなる
開業届を提出し、あわせて青色申告承認申請書を期限内に提出すれば、青色申告を利用できる可能性があります。青色申告では、青色申告特別控除、赤字の繰越し、青色事業専従者給与など、白色申告にはないメリットがあります。国税庁+1
フリーランスは、売上が増えるほど税金や社会保険料の負担も意識する必要があります。早めに青色申告の体制を整えておけば、将来的に利益が増えたときに節税しやすくなります。
4-2. 屋号を使って事業を管理しやすくなる
開業届には屋号を記載できます。屋号は、個人名とは別に事業上使う名称です。たとえば、デザイン事務所、編集室、制作スタジオ、コンサルティングオフィスのような名前を付けることで、事業の見え方を整えられます。
屋号は必須ではありませんが、請求書、見積書、契約書、ホームページ、SNS、銀行口座などで統一して使うと、事業管理がしやすくなります。個人名だけで活動するより、事業の方向性を伝えやすくなる点もメリットです。
4-3. 経費や帳簿管理への意識が高まる
開業届を提出すると、「自分は事業者として活動している」という意識が強くなります。その結果、売上や経費を記録する、領収書を保管する、請求書を整理する、会計ソフトを導入するなど、経理への意識が高まりやすくなります。
フリーランスは、仕事の獲得や納品だけでなく、税金・資金繰り・契約管理も自分で行う必要があります。開業届は、そのスタートラインを明確にする役割もあります。
4-4. 事業者としての信用を得やすくなる
開業届の控えは、個人事業主として活動していることを示す資料のひとつです。取引先との契約、事業用口座の開設、融資相談、補助金申請、共済制度の加入などで、開業届の控えがあると説明しやすくなります。
特に、会社員から独立したばかりのフリーランスや、実績が少ない段階のフリーランスにとって、事業者としての書類を整えておくことは信頼づくりの一歩になります。
4-5. 将来的な融資・補助金申請に備えられる
今は小規模に活動していても、将来的に事業を拡大したくなることがあります。広告費を増やす、外注を使う、機材を購入する、事務所を借りる、法人化を検討するなど、フリーランスの働き方は変化します。
そのとき、過去の開業日、確定申告書、売上推移、帳簿、事業用口座の入出金などが整理されていれば、融資や補助金の申請準備がしやすくなります。開業届は、将来の選択肢を広げるための基本手続きともいえます。
5. フリーランスが開業届を出す前に知っておきたい注意点
5-1. 会社員の副業は勤務先の副業規定を確認する
会社員が副業フリーランスとして開業届を出す場合、まず勤務先の就業規則や副業規定を確認しましょう。副業が全面的に禁止されている会社もあれば、事前申請が必要な会社、競業や情報漏えいにあたらなければ認められる会社もあります。
開業届を提出したことが勤務先へ自動的に通知されるわけではありません。しかし、副業収入に伴う住民税、SNSでの発信、取引先との関係などから副業が知られる可能性はあります。会社員としての立場を守るためにも、事前確認は欠かせません。
5-2. 扶養に入っている人は収入や健康保険の条件に注意する
配偶者や親の扶養に入っている人がフリーランス収入を得る場合、税金上の扶養と社会保険上の扶養の両方を確認する必要があります。税金の扶養判定と健康保険の被扶養者認定は、基準や見方が異なります。
特にフリーランスは、売上から必要経費を差し引いた所得で判断される場面もあれば、収入見込みで判断される場面もあります。健康保険組合によって必要書類や判断基準が異なることもあるため、扶養に入っている人は、収入が増える前に加入先へ確認しておきましょう。
5-3. 失業保険を受給中の人は開業のタイミングに注意する
失業保険を受給中の人がフリーランスとして開業する場合は、タイミングに注意が必要です。自営業の開始や準備を始めると、失業状態とみなされなくなる場合があります。厚生労働省の地方労働局資料でも、自営業の準備を含めて開始する場合は、失業の状態を満たさなくなるため届出が必要とされています。都道府県労働局所在地一覧+1
また、自営開始に伴う再就職手当の申請では、開業届の控えなど、自営開始日がわかる書類を求められることがあります。失業保険を受給中の人は、自己判断で開業届を出す前に、必ずハローワークへ相談しましょう。
5-4. 開業届を出しても税金が自動で増えるわけではない
開業届を出しただけで、所得税や住民税が自動的に増えるわけではありません。税金は、基本的に売上から必要経費や各種控除を反映して計算される所得に応じて決まります。
「開業届を出すと税金が高くなる」と不安に感じる人もいますが、実際には開業届の提出よりも、収入の有無、所得額、申告内容が重要です。むしろ、青色申告の準備をすることで、税負担を抑えやすくなる可能性があります。
5-5. 本業化する予定がない場合でも所得管理は必要
副業として月数万円だけ稼ぐつもりでも、所得管理は必要です。案件数が増えたり、単価が上がったりすると、気づかないうちに確定申告が必要な所得額に達することがあります。
また、確定申告が不要な年でも、住民税の申告や帳簿・領収書の管理が必要になる場合があります。今後本業化する予定がない人でも、売上、経費、入金日、請求書、領収書は整理しておきましょう。
6. フリーランスに必要な主な届出・手続き
6-1. 個人事業の開業・廃業等届出書
フリーランスが事業を始めたときの基本となる届出が、個人事業の開業・廃業等届出書です。提出先は納税地を管轄する税務署で、事業を開始した事実、屋号、職業、事業内容などを記載します。
国税庁の案内では、新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設・増設・移転・廃止したとき、事業を廃止したときの手続きとして示されています。国税庁
6-2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告を利用したい場合は、開業届とは別に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。青色申告を始めるには、この申請書の提出が重要です。
国税庁によると、新たに青色申告の申請をする人は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までに提出します。1月16日以後に新規開業した場合は、業務開始日から2か月以内に提出する必要があります。国税庁
開業届よりも青色申告承認申請書の期限のほうが実務上重要になることがあります。初年度から青色申告をしたいなら、開業届と同時に提出するのがおすすめです。
6-3. 消費税に関する届出
フリーランスでも、売上規模や取引内容によっては消費税の課税事業者になることがあります。国税庁は、基準期間における課税売上高が1,000万円を超えたことにより課税事業者となる場合の手続きとして、消費税課税事業者届出手続を案内しています。国税庁
開業初年度から必ず消費税の申告が必要になるわけではありませんが、売上が増えてきたら注意が必要です。また、インボイス制度に登録する場合は、売上1,000万円以下の免税事業者であっても消費税の申告が必要になるケースがあります。
6-4. インボイス制度への登録申請
取引先が法人や課税事業者の場合、インボイスの発行を求められることがあります。インボイスを発行するには、適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があります。
国税庁は、適格請求書発行事業者の登録申請手続について、e-Taxでの作成・提出を案内しています。また、免税事業者が登録を受ける場合、原則として登録を受けた日から2年間は消費税の申告が必要になると説明されています。国税庁+1
インボイス登録は、すべてのフリーランスに必須ではありません。取引先の要望、売上規模、消費税負担、価格交渉への影響を考えたうえで判断しましょう。
6-5. 従業員や家族に給与を支払う場合の届出
フリーランスが従業員を雇う場合や、家族に給与を支払う場合は、追加の届出が必要になることがあります。たとえば、青色申告者が生計を一にする配偶者や親族に給与を支払う場合、青色事業専従者給与に関する届出が関係します。
国税庁は、青色事業専従者給与について、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で、労務の対価として適正な金額であれば必要経費に算入できると説明しています。国税庁
一人で活動しているうちは不要でも、外注から雇用に切り替える、家族に経理を手伝ってもらうといった場合は、税務署や税理士に確認しましょう。
6-6. 国民健康保険・国民年金への切り替え手続き
会社を退職してフリーランスになる場合は、健康保険と年金の切り替えも必要です。日本年金機構は、会社を退職して会社に就職しない場合、国民年金第1号被保険者として資格取得の手続きが必要になるケースを説明しています。年金機構
また、厚生労働省は、他の医療保険に加入していない人などは国民健康保険の被保険者となり、被保険者となったときや脱退するときなどは14日以内に市町村の窓口へ関係書類を提出する必要があると説明しています。厚生労働省
独立直後は仕事の準備に追われがちですが、健康保険と年金の手続きを忘れると、医療費や保険料の面で困る可能性があります。
7. 開業届を出すタイミングと提出方法
7-1. 開業日はいつにすればよいか
開業日は、実際に事業を始めた日を基準に考えます。たとえば、最初の案件を受注した日、事業として営業を開始した日、継続的にサービス提供を始めた日などが候補になります。
「いつから事業として始めたのか」が曖昧な場合は、売上が発生した日、契約を結んだ日、事業用サイトを公開した日、営業活動を開始した日など、客観的に説明しやすい日を選ぶとよいでしょう。すでに活動している場合は、実態に合う日を正直に記載することが大切です。
7-2. 開業届の提出期限
現在の国税庁の手続案内では、個人事業の開業・廃業等届出書の提出時期は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとされています。国税庁
ただし、青色申告承認申請書には別の期限があります。初年度から青色申告を使いたい場合、開業届だけでなく青色申告承認申請書の提出期限を必ず確認しましょう。特に1月16日以後に開業した人は、業務開始日から2か月以内が目安になります。国税庁
7-3. 開業届の提出先
開業届の提出先は、原則として納税地を管轄する税務署です。納税地は通常、住所地を基準にしますが、事務所や事業所を納税地にするケースもあります。
提出前に、自分の住所を管轄する税務署を確認しておくとスムーズです。引っ越しや事務所移転がある場合は、納税地の異動に関する手続きも必要になることがあります。
7-4. 税務署の窓口・郵送・e-Taxで提出する方法
開業届は、税務署の窓口へ持参する方法、郵送する方法、e-Taxで提出する方法があります。窓口提出なら、その場で不備を確認してもらいやすい点がメリットです。郵送なら税務署へ行く時間がない人でも提出できます。e-Taxならオンラインで手続きできます。
どの方法でも、提出した事実を確認できる控えや受信通知を保管しておくことが大切です。後日、銀行口座の開設や補助金申請などで必要になる場合があります。
7-5. 開業届の控えを保管しておく理由
開業届の控えは、フリーランスとして事業を開始したことを示す重要な資料です。屋号付き口座の開設、賃貸契約、融資、補助金、共済制度、保育園関連手続きなど、さまざまな場面で提示を求められる可能性があります。
紙で提出した場合は控えを手元に残し、e-Taxで提出した場合は受信通知や送信データを保管しておきましょう。帳簿や確定申告書とあわせて、事業関連書類として整理しておくと安心です。
7-6. 青色申告承認申請書も同時に提出するべき理由
開業届を出すなら、青色申告承認申請書も同時に提出するのがおすすめです。理由は、青色申告承認申請書の提出を忘れると、その年から青色申告を使えない可能性があるからです。
青色申告は、最高65万円の特別控除や赤字の繰越しなど、フリーランスにとって大きなメリットがあります。開業届だけを出して満足せず、青色申告を利用するかどうかまでセットで考えましょう。
8. 届出なしのフリーランスが今からやるべきこと
8-1. これまでの売上・経費・所得を整理する
まずは、これまでの売上と経費を整理しましょう。銀行口座の入金履歴、請求書、報酬明細、クラウドソーシングの支払履歴、領収書、クレジットカード明細などを集めます。
次に、売上から必要経費を差し引いて所得を計算します。売上だけを見て判断するのではなく、実際の所得がいくらなのかを把握することが大切です。
8-2. 確定申告が必要か確認する
所得を整理したら、確定申告が必要か確認します。専業フリーランスなのか、副業フリーランスなのか、給与所得があるのか、源泉徴収されているのか、医療費控除やふるさと納税などで申告する予定があるのかによって判断が変わります。
副業会社員の場合は、給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超えるかどうかがひとつの目安になります。ただし、住民税の申告が別途必要になる場合もあるため、所得税だけで判断しないようにしましょう。国税庁+1
8-3. 開業届を提出する
継続的にフリーランスとして活動しているなら、開業届を提出しましょう。すでに事業を始めている場合でも、実態に合った開業日を記載して提出できます。
届出なしの期間があったからといって、そのまま放置する必要はありません。むしろ、今後の青色申告、事業用口座、融資、補助金、共済制度などに備えるためにも、早めに整えておくことが大切です。
8-4. 青色申告に切り替える準備をする
青色申告を利用したい場合は、青色申告承認申請書を提出し、帳簿づけの準備を始めます。会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードと連携して記帳を効率化できます。
複式簿記に不安がある人でも、早めに準備すれば対応しやすくなります。青色申告特別控除を最大限活用するには、期限内申告、帳簿、決算書、e-Taxなどの要件を満たす必要があるため、年末になって慌てないようにしましょう。国税庁
8-5. 帳簿作成・領収書管理を始める
届出なしで活動していた人ほど、帳簿や領収書の管理が後回しになっていることがあります。今からでも、売上台帳、経費帳、請求書、領収書、通帳、カード明細を整理しましょう。
事業用とプライベート用の支払いが混ざっている場合は、どの支出が事業に関係するのかを確認します。今後は事業用口座や事業用カードを分けると、確定申告の作業が大幅に楽になります。
8-6. 不安がある場合は税務署や税理士に相談する
過去の収入が多い、申告していない年がある、経費にできるか判断できない、開業日をどう書けばよいかわからないという場合は、税務署や税理士に相談しましょう。
特に、無申告の年がある場合や、複数年にわたって収入がある場合は、自己判断で放置しないことが大切です。早めに整理して自主的に対応すれば、負担を抑えられる可能性があります。
9. フリーランスの届出なしに関するよくある質問
9-1. 開業届を出していない収入はバレる?
開業届を出していないからといって、収入が把握されないわけではありません。取引先の支払記録、銀行口座への入金、プラットフォームの報酬履歴、支払調書など、収入に関する記録はさまざまな場所に残ります。
重要なのは、バレるかどうかではなく、必要な申告を正しく行うことです。すでに収入があるなら、まず売上と経費を整理し、確定申告の要否を確認しましょう。
9-2. 開業届なしでも経費は使える?
開業届を出していなくても、確定申告で所得を計算する際に、業務に必要な支出を必要経費として計上できる場合があります。ただし、事業に関係する支出であることを説明できるよう、領収書や明細を保管しておく必要があります。
また、経費にできるかどうかは、支出の内容、使用目的、家事按分の有無などによって変わります。プライベート支出を何でも経費にできるわけではありません。
9-3. 開業届なしでも確定申告はできる?
開業届を出していなくても、確定申告はできます。むしろ、収入があり申告が必要な場合は、開業届の有無にかかわらず確定申告を行う必要があります。
ただし、事業として継続的に活動しているなら、確定申告とあわせて開業届の提出も検討しましょう。青色申告を利用したい場合は、青色申告承認申請書の提出も必要です。
9-4. 開業届を出すと会社に副業がバレる?
開業届を出したこと自体が、税務署から勤務先へ通知されるわけではありません。ただし、副業収入に伴う住民税、社会保険、取引先との関係、SNSやホームページでの発信などから、勤務先に知られる可能性はあります。
会社員が副業フリーランスとして活動する場合は、就業規則を確認し、必要に応じて会社へ申請しましょう。副業禁止の会社で無断開業すると、税務上の問題とは別に、社内規定上のトラブルになる可能性があります。
9-5. 収入が少ないフリーランスでも開業届は必要?
収入が少なくても、継続的に事業として活動しているなら、開業届の提出を検討すべきです。開業届は、利益の多さだけでなく、事業を開始した事実に関する届出だからです。
ただし、単発の収入や趣味に近い活動など、事業といえるか判断が難しいケースもあります。継続性、反復性、営利性、活動実態を踏まえて判断しましょう。不安がある場合は、税務署や税理士に相談すると安心です。
9-6. 開業届を出し忘れた場合はどうすればいい?
開業届を出し忘れていた場合は、気づいた時点で提出しましょう。すでにフリーランスとして活動しているなら、実際の開業日に近い日付を整理し、事業内容を記載して提出します。
あわせて、過去の売上・経費・所得を確認し、確定申告が必要な年がないかも確認します。開業届の出し忘れだけでなく、無申告や申告漏れがある場合は、早めに対応することが重要です。
まとめ
フリーランスは、開業届などの届出なしでも仕事を受けること自体は可能です。しかし、事業として継続的に活動しているなら、開業届の提出対象になります。届出なしのままでもすぐに罰則があるわけではありませんが、青色申告特別控除、赤字の繰越し、屋号付き口座、融資、補助金、共済制度、社会的信用などの面で不利になる可能性があります。
特に大切なのは、「開業届なし」と「確定申告なし」を混同しないことです。収入がある場合は、開業届を出しているかどうかにかかわらず、売上・経費・所得を整理し、確定申告や住民税申告の必要性を確認する必要があります。
届出なしで活動しているフリーランスは、まず過去の売上と経費を整理し、申告が必要か確認しましょう。そのうえで、開業届と青色申告承認申請書を提出し、帳簿作成や領収書管理を始めることが大切です。不安がある場合は、税務署や税理士に相談し、早めに正しい状態へ整えていきましょう。

