フリーランス年収700万の手取りはいくら?税金・社会保険料と会社員の年収換算まで解説

はじめに

フリーランスで年収700万円と聞くと、十分に余裕があるように感じるかもしれません。しかし、フリーランスの「年収700万円」は、会社員の額面年収700万円とは意味が異なります。売上から必要経費を払い、さらに所得税・住民税・個人事業税・国民健康保険料・国民年金保険料などを自分で納める必要があるためです。

この記事では、フリーランス年収700万円の手取り目安を、経費なし・経費100万円・経費200万円のパターンで解説します。あわせて、税金や社会保険料の内訳、会社員年収に換算した場合の考え方、手取りを増やす方法まで整理します。

なお、本文中の試算は、独身・扶養なし・40歳未満・青色申告特別控除65万円・東京都新宿区の令和8年度国民健康保険料率を参考にした概算です。実際の金額は、年度、自治体、年齢、扶養家族、控除、業種、インボイス登録の有無などで変わります。国民年金保険料は令和8年度で月額17,920円です。年金ポータルサイト+1

1. フリーランス年収700万の手取りはいくら?

フリーランス年収700万円の手取りは、前提条件によって大きく変わります。ざっくりいうと、売上700万円の場合の年間手取りは、経費が少なければ約480万円前後、経費が100万円程度なら約420万円前後、経費が200万円程度なら約360万円前後がひとつの目安です。

ただし、この「手取り」は生活費として自由に使える金額というより、売上から経費・税金・社会保険料を差し引いた後に残る金額です。事業用の備品購入、将来の納税資金、病気や休業への備え、老後資金などもここから準備する必要があります。

1-1. 年収700万の手取りは経費・控除・住んでいる自治体で変わる

フリーランスの手取りを左右する大きな要素は、必要経費、所得控除、国民健康保険料です。

同じ売上700万円でも、経費が50万円の人と200万円の人では、課税対象になる所得が大きく違います。さらに、青色申告特別控除、社会保険料控除、iDeCo、小規模企業共済、扶養控除、医療費控除などの有無によっても所得税・住民税が変わります。

特に差が出やすいのが国民健康保険料です。国民健康保険料は前年所得や自治体の料率によって異なります。たとえば東京都新宿区の令和8年度国民健康保険料は、医療分、後期高齢者支援金分、介護分、子ども・子育て支援金分に分かれており、それぞれ所得割・均等割・賦課限度額が設定されています。新宿区役所

1-2. 前提条件別の手取り目安:経費なし・経費100万・経費200万

フリーランスの売上700万円について、経費別に手取りを試算すると以下のようになります。

前提条件経費差引後の利益年間手取り目安月平均の手取り目安
売上700万円・経費なし700万円約483万円約40万円
売上700万円・経費100万円600万円約426万円約35万円
売上700万円・経費200万円500万円約367万円約31万円

この試算には、所得税、住民税、個人事業税、国民健康保険料、国民年金保険料を含めています。40歳以上になると介護保険料が加わるため、手取りはさらに下がります。

注意したいのは、経費が増えると税金は下がりますが、手取りが必ず増えるわけではないことです。経費はあくまで事業のために使ったお金なので、不要な支出を増やせば、税金が減っても手元資金は減ります。

1-3. 「売上700万」と「所得700万」では手取りが大きく違う

フリーランスの年収を考えるときは、「売上700万円」なのか「所得700万円」なのかを分けて考える必要があります。

売上700万円とは、取引先から受け取った報酬の合計です。ここから通信費、外注費、交通費、家賃按分、ソフトウェア利用料などの必要経費を差し引いたものが、事業の利益に近い金額になります。

一方、所得700万円という場合は、経費を差し引いた後に700万円残っている状態を指すことが多く、売上は700万円より高い可能性があります。たとえば経費が150万円なら、所得700万円を得るには売上850万円程度が必要です。

つまり、「売上700万円のフリーランス」と「所得700万円のフリーランス」では、税金も手取りも資金力も大きく異なります。手取りを把握するには、まず売上ではなく経費差引後の利益を見ることが重要です。

1-4. 会社員の額面年収700万と比較すると手取り感が異なる理由

会社員の額面年収700万円と、フリーランスの売上700万円は同じではありません。

会社員の場合、給与所得控除があり、健康保険や厚生年金の保険料は会社と従業員で原則折半されます。厚生年金保険料率は18.3%で固定されており、実際の本人負担はその半分です。年金ポータルサイト

一方、フリーランスは国民健康保険料と国民年金保険料を自分で負担します。さらに、会社員のような有給休暇、傷病手当金、雇用保険、退職金、会社負担の福利厚生も基本的にはありません。

そのため、同じ700万円でも、会社員の額面年収700万円のほうが手取りや保障面で有利に見えるケースがあります。フリーランスは売上だけでなく、経費、税金、社会保険、将来保障まで含めて判断する必要があります。

2. フリーランス年収700万の手取りを計算する流れ

フリーランスの手取りは、次の順番で計算すると整理しやすくなります。

売上から必要経費を引き、事業所得を出します。次に、青色申告特別控除や各種所得控除を差し引き、課税所得を計算します。その課税所得をもとに所得税・住民税を計算し、さらに個人事業税や社会保険料を差し引くと、おおよその手取りが見えてきます。

2-1. 売上から必要経費を引いて事業所得を出す

まずは、年間売上から必要経費を差し引きます。

たとえば、売上700万円、必要経費100万円なら、経費差引後の利益は600万円です。ここから青色申告特別控除65万円を適用できる場合、所得税の計算上の事業所得は535万円になります。

青色申告特別控除は、複式簿記で記帳し、期限内申告を行い、e-Taxなど一定の要件を満たすことで最大65万円の控除を受けられる制度です。国税庁

2-2. 所得控除を差し引いて課税所得を計算する

事業所得が出たら、そこから所得控除を差し引きます。代表的な所得控除には、基礎控除、社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除、小規模企業共済等掛金控除などがあります。

フリーランスの場合、国民健康保険料や国民年金保険料は全額が社会保険料控除の対象です。iDeCoの掛金も小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除の対象になります。iDeCo公式サイト

課税所得は、簡単に表すと次の式になります。

課税所得 = 事業所得 − 所得控除

この課税所得が低いほど、所得税や住民税も下がります。

2-3. 所得税・住民税・個人事業税を計算する

所得税は累進課税です。課税所得が増えるほど税率が上がり、課税所得195万円超330万円以下は10%、330万円超695万円以下は20%、695万円超900万円以下は23%というように段階的に税率が変わります。国税庁

住民税は、所得割が一般的に10%です。自治体によって均等割などの扱いが異なるため、実際の税額は居住地の制度を確認する必要があります。内閣官房

個人事業税は、すべてのフリーランスにかかるわけではありません。法定業種に該当し、事業主控除290万円を超える所得がある場合に課税されます。東京都の場合、事業主控除は年間290万円です。東京都税務局

2-4. 国民健康保険料・国民年金保険料を差し引く

フリーランスは、原則として国民健康保険と国民年金に加入します。

国民健康保険料は、前年所得、加入人数、年齢、自治体の料率によって変わります。40歳以上65歳未満の人は介護分も加わるため、40歳未満より負担が重くなります。

国民年金保険料は定額で、令和8年度は月額17,920円、年額では215,040円です。年金ポータルサイト

2-5. 手取り額の計算式を具体例で解説

売上700万円、経費100万円、青色申告特別控除65万円、独身・扶養なし・40歳未満の場合を例にすると、手取りは次のように考えます。

売上700万円 − 経費100万円 = 利益600万円
利益600万円 − 青色申告特別控除65万円 = 事業所得535万円
事業所得535万円 − 各種所得控除 = 課税所得
利益600万円 − 税金・社会保険料 = 手取り

このケースでは、所得税、住民税、個人事業税、国民健康保険料、国民年金保険料を差し引いた手取りは、概算で約426万円です。

月平均では約35万円ですが、税金や保険料は毎月均等に引かれるわけではありません。確定申告後、住民税や国民健康保険料の通知が届き、まとまった支払いが発生します。そのため、毎月の生活費とは別に納税資金を積み立てておくことが重要です。

3. フリーランス年収700万でかかる税金の内訳

フリーランス年収700万円で主にかかる税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税です。消費税については、課税売上高やインボイス登録の有無によって変わります。

税金の負担感が大きくなる理由は、会社員のように毎月自動で天引きされるのではなく、確定申告後に自分で納める場面が多いからです。実際の税負担を軽くするには、売上だけでなく、経費、控除、納税時期を正しく管理する必要があります。

3-1. 所得税:累進課税で所得が増えるほど税率が上がる

所得税は、課税所得に応じて税率が上がる累進課税です。

年収700万円のフリーランスでも、経費や控除が多ければ課税所得は下がります。反対に、経費が少なく控除も少ない場合は課税所得が高くなり、所得税の負担も増えます。

たとえば、売上700万円・経費100万円・青色申告特別控除65万円の場合、所得税の試算額は約36万円です。経費なしの場合は約55万円、経費200万円の場合は約20万円が目安です。

3-2. 住民税:課税所得に対しておおむね10%かかる

住民税は、前年の所得をもとに翌年課税されます。所得割はおおむね10%で、これに均等割などが加わります。

売上700万円のフリーランスの場合、住民税は経費や控除によって大きく変わります。試算では、経費なしなら約51万円、経費100万円なら約42万円、経費200万円なら約33万円が目安です。

住民税は所得税と違い、翌年6月ごろから納付が始まります。前年に売上が大きく伸びた場合、翌年の住民税が高くなり、資金繰りに影響することがあります。

3-3. 個人事業税:業種によって課税対象になる

個人事業税は、都道府県に納める地方税です。対象になる業種は法律で定められており、業種によって税率が異なります。

多くの業種では税率5%が目安ですが、すべてのフリーランスにかかるわけではありません。たとえば、文筆業や漫画家など、業種の扱いによっては対象外となるケースもあります。

個人事業税の計算では、事業主控除290万円があります。売上700万円・経費100万円の場合、個人事業税は概算で約15万円前後です。ただし、青色申告特別控除は個人事業税の計算では基本的に差し引けない点に注意しましょう。

3-4. 消費税:課税事業者・インボイス登録の有無で変わる

消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合などに納税義務が発生します。基準期間とは、個人事業主の場合、原則として前々年です。国税庁

売上700万円であれば、通常は課税売上高1,000万円以下なので免税事業者に該当する可能性があります。ただし、インボイス発行事業者に登録している場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の申告が必要です。国税庁

そのため、年収700万円のフリーランスでも、インボイス登録をしているかどうかで手取りが変わる可能性があります。

3-5. 税金が高く感じる原因は「経費後の所得」と「控除額」にある

税金が高いと感じる原因は、売上ではなく、経費後の所得に対して課税されるからです。

売上700万円でも、経費が少なければ利益が多く残るため、税金や保険料も高くなります。逆に、経費が多ければ税金は下がりますが、事業に使ったお金も増えているため、手取りが増えるとは限りません。

また、控除を活用していない場合も税負担は重くなります。青色申告特別控除、社会保険料控除、iDeCo、小規模企業共済、医療費控除、ふるさと納税などを適切に使うことで、課税所得を下げられる可能性があります。

4. フリーランス年収700万でかかる社会保険料

フリーランスの社会保険料で中心になるのは、国民健康保険料と国民年金保険料です。40歳以上になると介護保険料も加わります。

会社員の場合、健康保険や厚生年金は会社と本人で負担しますが、フリーランスは基本的に自分で全額を負担します。そのため、同じ年収でも社会保険料の感じ方が大きく異なります。

4-1. 国民健康保険料は前年所得と自治体で変わる

国民健康保険料は、フリーランスの手取りに大きく影響します。

東京都新宿区の令和8年度料率を参考にすると、40歳未満・単身・売上700万円の場合、国民健康保険料の目安は次のとおりです。

前提条件国民健康保険料の目安
経費なし約69万円
経費100万円約59万円
経費200万円約48万円

40歳以上65歳未満になると介護分が加わるため、同じ条件でも年間10万円以上増えることがあります。

4-2. 国民年金保険料は定額で会社員の厚生年金とは異なる

国民年金保険料は、所得に関係なく定額です。令和8年度は月額17,920円、年額215,040円です。

会社員は厚生年金に加入しており、保険料は給与や賞与に応じて決まります。将来受け取る年金も、国民年金だけのフリーランスより厚くなる傾向があります。

そのため、フリーランスは国民年金だけでなく、iDeCo、国民年金基金、小規模企業共済、新NISAなどを活用し、自分で老後資金を作る意識が必要です。

4-3. 介護保険料は40歳以上になるとかかる

40歳以上65歳未満の人は、国民健康保険料に介護分が加わります。これにより、40歳未満のときより保険料負担が増えます。

たとえば、売上700万円・経費100万円の場合、40歳未満では国民健康保険料が約59万円の目安ですが、40歳以上では約72万円程度になるケースがあります。

40歳を超えると急に年間負担が増えるため、資金計画にはあらかじめ織り込んでおきましょう。

4-4. フリーランスは会社員のような会社負担分がない

会社員の社会保険料は、本人負担分だけが給与から天引きされます。実際には会社も別途、健康保険料や厚生年金保険料を負担しています。

フリーランスにはこの会社負担分がありません。病気で働けないときの傷病手当金、有給休暇、雇用保険による失業給付、退職金制度なども基本的には自分で備える必要があります。

そのため、フリーランス年収700万円を会社員年収700万円と比較するときは、手取りだけでなく、保障や福利厚生の差も考慮する必要があります。

4-5. 社会保険料は全額所得控除できる

国民健康保険料や国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象です。

つまり、支払った社会保険料は所得から差し引けるため、所得税や住民税の負担を下げる効果があります。ただし、社会保険料そのものの支払いがなくなるわけではありません。

手取りを考えるときは、「社会保険料は控除できるから負担が軽い」と考えるのではなく、「支払った分だけ課税所得を下げられる」と理解しておきましょう。

5. フリーランス年収700万は会社員年収に換算するといくら?

フリーランス年収700万円を会社員年収に換算する場合、単純に700万円同士で比較してはいけません。

売上700万円のフリーランスは、そこから経費、税金、国民健康保険料、国民年金保険料を支払います。一方、会社員は給与所得控除があり、社会保険料の会社負担分や福利厚生もあります。

手取りだけで比較すると、売上700万円のフリーランスは、条件によって会社員年収460万円〜620万円前後に近いケースがあります。

5-1. 会社員とフリーランスで比較すべきポイント

比較すべきポイントは、額面収入ではなく、次の5つです。

まず、税金と社会保険料を差し引いた手取りです。次に、事業経費を自分で負担しているかどうかです。さらに、社会保険の保障内容、退職金や福利厚生、有給休暇や休業時の収入保障も考える必要があります。

フリーランスは売上を伸ばせる自由度がある一方で、収入の波や保障の薄さを自分でカバーしなければなりません。

5-2. 会社員の年収換算では福利厚生・社会保険・退職金も考慮する

会社員には、給与以外の見えにくいメリットがあります。

たとえば、会社負担の社会保険料、健康診断、通勤手当、住宅手当、退職金制度、企業型DC、福利厚生サービス、研修制度などです。これらは給与明細の手取りには直接出にくいものの、生活や将来保障に影響します。

フリーランスが会社員と同じ安心感を得るには、民間保険、貯蓄、投資、退職金代わりの制度などを自分で準備する必要があります。その分も考えると、フリーランスの売上700万円は、会社員の額面700万円と同等とは言い切れません。

5-3. フリーランス年収700万は会社員年収いくら相当か

手取りベースで見ると、売上700万円のフリーランスは、以下のような会社員年収に近いイメージです。

フリーランスの前提手取り目安近い会社員年収の目安
売上700万円・経費なし約483万円約620万円前後
売上700万円・経費100万円約426万円約540万円前後
売上700万円・経費200万円約367万円約460万円前後

一方、会社員の額面年収700万円は、独身・扶養なし・40歳未満・東京都の協会けんぽ加入を前提にすると、手取りは約530万円前後が目安です。協会けんぽ東京支部の令和8年度保険料率では、健康保険料率9.85%に子ども・子育て支援金率0.23%が加わり、厚生年金保険料率は18.3%です。共済会健康保険+1

5-4. 同じ手取りでも会社員のほうが安定性・保障面で有利なケース

同じ手取りなら、会社員のほうが有利なケースもあります。

たとえば、毎月安定した給与がある、社会保険の保障が厚い、有給休暇がある、失業時に雇用保険がある、住宅ローン審査で安定収入と見られやすい、といった点です。

特に家族を扶養している場合や、住宅ローンを組みたい場合、病気や出産・育児などのライフイベントを控えている場合は、会社員の安定性が大きなメリットになります。

5-5. フリーランスのほうが可処分所得を増やしやすいケース

一方で、フリーランスのほうが可処分所得を増やしやすいケースもあります。

たとえば、利益率が高い仕事をしている、在宅中心で経費が少ない、高単価案件を継続受注できる、青色申告や控除を適切に活用している、法人化によって税負担を最適化できる、といった場合です。

また、フリーランスは働き方や案件単価を自分で調整しやすいため、年収700万円から800万円、900万円へ伸ばせる余地があります。会社員より不安定な面はありますが、収入の上限を上げやすい点は大きな魅力です。

6. 手取りを左右する必要経費と控除

フリーランスの手取りを考えるうえで、必要経費と控除の管理は非常に重要です。

ただし、経費と控除は同じではありません。経費は事業に必要な支出で、売上から差し引いて利益を減らします。控除は、所得から差し引ける制度上の差引項目です。

どちらも税負担を下げる効果がありますが、意味と使い方を正しく理解する必要があります。

6-1. 経費にできる主な支出:通信費・家賃按分・交通費・外注費

フリーランスが経費にしやすい支出には、次のようなものがあります。

通信費、パソコンや周辺機器、ソフトウェア利用料、クラウドサービス、書籍代、セミナー費、交通費、打ち合わせ費用、外注費、広告宣伝費、事業用の家賃按分、水道光熱費の按分などです。

在宅フリーランスの場合、自宅家賃や電気代の一部を事業割合に応じて按分できることがあります。ただし、全額を経費にするのではなく、仕事で使っている割合を合理的に説明できることが大切です。

6-2. 経費にできない支出との違い

経費にできるのは、事業に直接関係する支出です。

一方、個人的な食事代、プライベートの旅行費、生活用品、家族の支出、仕事と関係ない服飾費などは、原則として経費にできません。

判断に迷う場合は、「売上を得るために必要だったか」「事業との関係を説明できるか」「領収書や記録が残っているか」を基準にしましょう。無理な経費計上は、税務調査で否認されるリスクがあります。

6-3. 青色申告特別控除を活用する

フリーランス年収700万円なら、青色申告特別控除はぜひ活用したい制度です。

最大65万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳、貸借対照表と損益計算書の作成、期限内申告、e-Taxによる申告などの要件があります。国税庁

白色申告より事務作業は増えますが、会計ソフトを使えば管理しやすくなります。年収700万円規模になると、青色申告の節税効果は無視できません。

6-4. 小規模企業共済・iDeCo・ふるさと納税で節税する

手取りを増やすには、所得控除を活用することも重要です。

小規模企業共済は、フリーランスや個人事業主の退職金代わりになる制度で、掛金は全額所得控除の対象です。小規模企業共済

iDeCoも掛金が全額所得控除の対象になり、老後資金を作りながら所得税・住民税の負担を下げられます。iDeCo公式サイト

ふるさと納税は、所得に応じた上限額の範囲内で寄附することで、返礼品を受け取りながら住民税などの控除を受けられる制度です。ただし、節税というより税金の前払いに近いため、上限額を確認して利用しましょう。

6-5. 経費を増やすだけでは手取りが増えない点に注意する

よくある誤解が、「経費を増やせば節税になるから得」という考え方です。

たしかに、経費を増やすと課税所得は下がり、税金も減ります。しかし、経費として使ったお金以上に税金が減るわけではありません。

たとえば10万円の経費を使って税金が3万円下がったとしても、手元資金は差し引き7万円減っています。必要な投資なら問題ありませんが、節税目的だけの無駄遣いは手取りを減らす原因になります。

7. 年収700万フリーランスが注意すべきお金の落とし穴

年収700万円を超えると、税金や保険料の負担も大きくなります。特にフリーランスは、収入が入ったタイミングと税金を払うタイミングがずれるため、資金繰りに注意が必要です。

「口座にお金があるから使ってよい」と考えると、後から住民税や国民健康保険料、予定納税の支払いで苦しくなることがあります。

7-1. 税金・保険料の支払いタイミングを把握しておく

所得税は、原則として翌年2月から3月の確定申告時期に申告・納付します。住民税や国民健康保険料は、その後に通知が届き、6月以降に納付が始まることが多いです。

個人事業税は、課税対象になる場合、一般的に8月と11月ごろに納付します。

つまり、売上が入った年と、税金や保険料を支払う年・月がずれるのです。年収700万円規模なら、毎月売上の25〜35%程度を納税・社会保険料用に分けておくと安心です。

7-2. 翌年の住民税・国民健康保険料が高くなる

フリーランスが特に注意すべきなのは、翌年の負担です。

今年の売上が大きく伸びると、翌年の住民税と国民健康保険料が高くなります。翌年も同じ売上を維持できればよいですが、売上が下がった場合でも、前年所得をもとにした負担がのしかかります。

そのため、売上が好調な年ほど、手元資金を残す意識が必要です。

7-3. 予定納税や中間納付で資金繰りが苦しくなることがある

所得税額が一定額を超えると、予定納税が必要になることがあります。予定納税とは、翌年分の所得税の一部を前払いする制度です。

また、消費税の課税事業者になった場合は、中間納付が発生することもあります。

年収700万円からさらに売上が伸びると、こうした前払い負担が増える可能性があります。急な納付に慌てないよう、納税スケジュールを年間で把握しておきましょう。

7-4. 売上700万でも手元資金を使い切らない

売上700万円は、すべて自由に使えるお金ではありません。

経費、税金、社会保険料、将来の投資、緊急時の生活費を差し引く必要があります。特にフリーランスは、病気や取引先都合で急に収入が止まることもあります。

最低でも生活費の6か月分、できれば1年分程度の生活防衛資金を確保しておくと安心です。

7-5. 事業用口座と生活費口座を分ける

フリーランスは、事業用口座と生活費口座を分けるのがおすすめです。

売上が入る口座、経費を支払う口座、税金用の口座、生活費の口座を分けると、資金管理がしやすくなります。

毎月一定額を生活費口座に移す形にすれば、会社員の給与のように使える金額を管理できます。これにより、納税資金を誤って使い込むリスクを減らせます。

8. 年収700万からさらに手取りを増やす方法

年収700万円のフリーランスが手取りを増やすには、単に節税するだけでは不十分です。

重要なのは、売上を伸ばすこと、利益率を上げること、経費と控除を適切に管理することです。さらに、所得が増えてきたら法人成りや税理士への相談も検討しましょう。

8-1. 単価アップで売上を伸ばす

最も効果が大きいのは、単価を上げることです。

同じ労働時間でも、単価が上がれば売上と利益が増えます。年収700万円のフリーランスなら、すでに一定の実績や専門性があるはずです。

過去の成果を整理し、ポートフォリオや提案資料を整え、既存顧客への単価交渉や高単価案件への営業を行いましょう。

8-2. 利益率の高い案件に切り替える

売上が高くても、外注費や移動費、拘束時間が大きい案件は利益率が下がります。

手取りを増やすには、売上だけでなく、時間単価と利益率を見ることが大切です。

たとえば、月50万円の案件でも稼働時間が200時間なら時間単価は2,500円です。一方、月30万円でも稼働時間が60時間なら時間単価は5,000円です。売上額だけでなく、利益と時間効率で案件を選びましょう。

8-3. 経費・控除を漏れなく管理する

手取りを増やすには、経費や控除の漏れをなくすことも大切です。

領収書や請求書を保存し、会計ソフトで毎月記帳しておくと、確定申告前に慌てずに済みます。クレジットカードや銀行口座を事業用に分けると、経費管理がさらに楽になります。

また、iDeCo、小規模企業共済、医療費控除、扶養控除、生命保険料控除、ふるさと納税など、自分に使える控除を毎年確認しましょう。

8-4. 法人成りを検討するタイミング

年収700万円前後では、すぐに法人成りしたほうがよいとは限りません。

法人化すると、役員報酬の設定、社会保険加入、法人住民税、税理士費用、事務負担などが発生します。一方で、所得分散、退職金設計、経費範囲の整理、社会的信用の向上などのメリットもあります。

一般的には、利益が安定して800万円〜1,000万円を超えてくるあたりから、法人成りを具体的に検討する人が増えます。ただし、業種や家族構成、社会保険料、消費税の状況によって判断は変わります。

8-5. 税理士に相談すべきケース

年収700万円規模になると、税理士に相談するメリットが出てきます。

特に、インボイス登録をしている、消費税の申告が必要、外注費が多い、家事按分がある、所得が毎年増えている、法人成りを検討している、税務調査が不安、といった場合は相談する価値があります。

税理士費用はかかりますが、節税だけでなく、経理の効率化、資金繰り、法人化判断、税務リスクの軽減につながります。

9. フリーランス年収700万に関するよくある質問

ここでは、フリーランス年収700万円の手取りや税金について、よくある疑問に答えます。

9-1. フリーランス年収700万は高収入ですか?

フリーランスで年収700万円は、一般的には高収入の部類に入ります。ただし、売上700万円なのか、経費差引後の所得700万円なのかで評価は大きく変わります。

売上700万円で経費が多い場合、実際の手取りは会社員年収500万円前後に近いこともあります。一方、経費が少なく利益率が高い場合は、十分に余裕のある水準といえます。

9-2. 年収700万だと国民健康保険料はいくらですか?

国民健康保険料は自治体や年齢によって変わります。

東京都新宿区の令和8年度料率を参考にした場合、40歳未満・単身・青色申告65万円の前提では、売上700万円・経費なしで約69万円、経費100万円で約59万円、経費200万円で約48万円が目安です。

40歳以上65歳未満の場合は介護分が加わるため、さらに年間10万円以上高くなることがあります。

9-3. 年収700万で消費税は払う必要がありますか?

売上700万円だけを見ると、通常は課税売上高1,000万円以下のため、免税事業者に該当する可能性があります。

ただし、前々年の課税売上高が1,000万円を超えている場合、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合、またはインボイス発行事業者に登録している場合は、消費税の申告・納税が必要になることがあります。国税庁+1

9-4. 会社員年収700万とフリーランス年収700万はどちらが得ですか?

手取りと保障の安定性だけで見ると、会社員年収700万円のほうが有利なケースがあります。

会社員には給与所得控除があり、社会保険料の会社負担分、厚生年金、有給休暇、雇用保険、福利厚生などがあります。

一方、フリーランスは売上を伸ばしやすく、経費や控除を活用しやすい面があります。高単価案件を獲得でき、利益率が高く、将来資金も自分で管理できる人にとっては、フリーランスのほうが有利になる可能性もあります。

9-5. フリーランス年収700万で住宅ローンや賃貸審査は通りますか?

フリーランス年収700万円でも、住宅ローンや賃貸審査に通る可能性は十分あります。

ただし、会社員よりも収入の安定性を厳しく見られることがあります。審査では、直近1年だけでなく、2〜3年分の確定申告書、所得金額、納税状況、借入状況、貯蓄額などが確認されることが多いです。

売上が高くても、経費を多く計上して所得が低い場合、審査上の年収は低く見られることがあります。住宅ローンを考えている場合は、数年前から所得の見せ方や資金計画を整えておきましょう。

まとめ

フリーランス年収700万円の手取りは、経費や控除、自治体、年齢、業種によって大きく変わります。

売上700万円の場合、独身・扶養なし・40歳未満・青色申告65万円の前提では、経費なしで約483万円、経費100万円で約426万円、経費200万円で約367万円が手取りの目安です。

会社員年収700万円と比べると、フリーランスは経費や社会保険料を自分で負担するため、同じ700万円でも手取り感は異なります。さらに、会社員には社会保険の会社負担分、厚生年金、有給休暇、退職金、福利厚生などのメリットがあります。

一方で、フリーランスは単価アップや高利益率案件への切り替え、青色申告、iDeCo、小規模企業共済、経費管理などによって、手取りを増やしやすい働き方でもあります。

年収700万円に到達したら、売上を伸ばすだけでなく、税金・社会保険料・納税時期・将来保障まで含めてお金を管理することが大切です。事業用口座と生活費口座を分け、毎月の納税資金を確保しながら、安定して手取りを残せる仕組みを作りましょう。