フリーランスに雇用保険被保険者証は必要?退職後の確認・再発行・失業保険の手続きを解説
フリーランスに雇用保険被保険者証は必要?退職後の確認・再発行・失業保険の手続きを解説
はじめに
会社員からフリーランスになる際、「雇用保険被保険者証は提出する必要があるのか」「紛失したままでも問題ないのか」と不安になる人は少なくありません。
結論からいうと、個人事業主や業務委託としてフリーランスの仕事を始めるだけであれば、雇用保険被保険者証は原則として必要ありません。ただし、退職後に失業保険の手続きをする場合や、将来会社員として再就職する場合、再就職手当を申請する場合などには、雇用保険の加入履歴や被保険者番号の確認が必要になることがあります。
この記事では、フリーランスと雇用保険被保険者証の関係をはじめ、書類が手元にない場合の確認方法、再発行の手続き、失業保険や再就職手当を受ける際の注意点を解説します。
1. フリーランスに雇用保険被保険者証は必要?
1-1. 結論:フリーランスとして働く分には原則不要
フリーランスとして業務委託契約や請負契約を結び、自分で事業を行う場合、雇用保険被保険者証を取引先へ提出する必要はありません。
雇用保険は、原則として事業主に雇用される労働者を対象とする制度です。一般的には、週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがある労働者が加入対象となります。事業主本人である個人事業主や、雇用契約を結ばず働くフリーランスは、自分自身を雇用保険に加入させることは原則としてできません。mhlw.go.jp+1
そのため、開業届の提出、業務委託契約の締結、事業用口座の開設、確定申告といったフリーランスの一般的な手続きで、雇用保険被保険者証を使用することは基本的にありません。
1-2. 退職後・再就職・失業保険の手続きでは必要になる場合がある
フリーランスとして活動している間は不要でも、次のような場面では雇用保険被保険者証や、そこに記載された被保険者番号が必要になることがあります。
フリーランスをやめて会社員として再就職するとき
雇用保険の加入履歴を確認するとき
教育訓練給付など、被保険者番号を記載する手続きをするとき
会社から雇用保険被保険者証の提出を求められたとき
一方、一般的な失業保険の受給手続きで中心となる書類は、雇用保険被保険者証ではなく「雇用保険被保険者離職票-1、-2」です。ハローワークが案内している基本手当の必要書類にも、離職票、マイナンバー確認書類、本人確認書類、写真、本人名義の預金通帳などが挙げられています。ハローワーク
したがって、雇用保険被保険者証を紛失していても、それだけを理由に失業保険の申請ができなくなるわけではありません。
1-3. 会社員からフリーランスになる人が確認すべきポイント
退職前後には、次の点を確認しておきましょう。
まず、会社が雇用保険被保険者証を保管していないか確認します。雇用保険の加入手続き後に本人へ渡す会社もあれば、紛失防止のため会社が保管し、退職時に渡す会社もあります。厚生労働省労働局
次に、失業保険の受給を検討している場合は、フリーランスとしての活動を始める前にハローワークへ相談することが重要です。開業届を提出していなくても、営業活動、事務所の契約、設備の購入、継続的な案件の受注などを始めれば、事業の準備や自営の開始と判断される可能性があります。
また、雇用保険被保険者証だけでなく、離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書など、退職後の手続きに必要な書類がそろっているか確認しておきましょう。
2. 雇用保険被保険者証とは?
2-1. 雇用保険に加入していたことを証明する書類
雇用保険被保険者証とは、雇用保険の被保険者番号などを確認するための書類です。
雇用保険の被保険者番号は、原則として1人につき1つ割り当てられ、転職して勤務先が変わっても同じ番号を引き継ぎます。再就職先はこの番号を使い、過去の雇用保険加入記録と新しい加入記録をつなげます。厚生労働省労働局
複数の会社で別々の番号が発行されると加入期間が正しく通算されない可能性があるため、再就職時には過去の被保険者番号を勤務先へ伝えることが大切です。
2-2. 記載されている主な内容
雇用保険被保険者証には、主に次の情報が記載されています。
雇用保険被保険者番号
被保険者氏名
生年月日
雇用保険被保険者証と一体になっている「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」には、事業所名や資格取得年月日なども記載されています。ハローワーク+1
被保険者番号は重要な個人情報です。受け取った書類は、離職票や年金関係書類などと一緒に保管しておきましょう。
2-3. いつ・誰から受け取る書類なのか
会社が従業員を雇用保険に加入させる際は、ハローワークへ雇用保険被保険者資格取得届を提出します。届出が受理されると雇用保険被保険者証が交付され、通常は会社を通じて従業員へ渡されます。
原則として加入手続きの完了後に本人へ交付されますが、実務上は会社が保管し、退職時に返却するケースもあります。手元にないからといって、必ずしも紛失したとは限りません。厚生労働省労働局
在職中で雇用保険被保険者証が見当たらない場合は、まず勤務先の人事・総務担当者へ確認しましょう。
2-4. 離職票・雇用保険受給資格者証との違い
雇用保険被保険者証、離職票、雇用保険受給資格者証は、それぞれ役割が異なります。
雇用保険被保険者証は、被保険者番号や加入者情報を確認する書類です。主に再就職先での雇用保険加入手続きなどに使用します。
離職票は、退職した事実、離職理由、退職前の賃金などを確認する書類です。失業保険の受給資格を決定する際に使用され、一般的な基本手当の申請では離職票-1と離職票-2を提出します。ハローワーク+1
雇用保険受給資格者証は、ハローワークで基本手当の受給資格が決定された後に交付される書類です。受給資格、基本手当日額、所定給付日数、支給状況などが記載され、失業認定や再就職手当の手続きに使用します。マイナンバーカードによる本人認証を利用する場合は、受給資格者証の代わりに雇用保険受給資格通知が交付されることがあります。厚生労働省労働局
3. フリーランスが雇用保険被保険者証を使う主な場面
3-1. 退職後に失業保険の手続きをする場合
失業保険の申請では、雇用保険被保険者証そのものよりも離職票が重要です。
受給資格の決定を受けるには、住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みを行い、離職票-1と離職票-2などを提出します。雇用保険被保険者証は必須書類として案内されていませんが、被保険者番号や加入履歴を確認するため、手元にあれば一緒に持参すると確認がスムーズです。ハローワーク
離職票が届かない場合は、まず会社へ処理状況を確認します。会社が手続きをしない場合や、催促しても届かない場合は、本人確認書類と退職証明書などを持ってハローワークへ相談できます。mhlw.go.jp
3-2. フリーランスから再就職する場合
フリーランスから会社員へ戻るときは、再就職先から雇用保険被保険者証の提出を求められることがあります。
再就職先は、証書に記載された被保険者番号を使って雇用保険の加入手続きを行います。ただし、雇用保険被保険者証がなければ入社できないわけではありません。
被保険者番号が分からなくても、会社は本人の氏名、生年月日、前職の会社名などを資格取得届に記載し、ハローワークに確認してもらうことができます。厚生労働省労働局+1
それでも、手続きの遅れや番号の重複を避けるため、再就職前に再発行しておくと安心です。
3-3. 再就職手当を申請する場合
再就職手当は、基本手当の受給資格決定後、一定の支給日数を残して早期に安定した職業に就いた場合や、一定の条件を満たして事業を開始した場合に支給される制度です。ハローワーク
申請では、雇用保険被保険者証よりも、再就職手当支給申請書、雇用保険受給資格者証または受給資格通知、開業や事業実態を証明する資料などが重要になります。
フリーランスとして開業した場合は、開業届の控えだけでなく、業務委託契約書、請負契約書、事務所の賃貸借契約書、設備の購入資料、売上を確認できる帳簿などを求められることがあります。厚生労働省労働局
3-4. 雇用保険の加入履歴を確認したい場合
過去の雇用保険加入履歴や被保険者番号を確認したい場合にも、雇用保険被保険者証が役立ちます。
ただし、証書が手元になくても、本人確認書類や過去の勤務先情報を用意してハローワークへ相談できます。個人情報保護のため、被保険者番号を電話だけで教えてもらうことは原則としてできません。厚生労働省労働局+1
4. 退職後に雇用保険被保険者証が手元にないときの確認方法
4-1. 会社から受け取っているか確認する
最初に、入社時や退職時に会社から受け取っていないか確認しましょう。
雇用保険被保険者証は小さな書類であるため、給与明細、労働条件通知書、年金関係書類などに挟まれていることがあります。電子交付された退職書類の中に、PDF形式で保存されている可能性もあります。
以前に転職している人は、直近の勤務先ではなく、さらに前の会社から受け取った書類の中も確認してください。被保険者番号は転職後も原則として同じものを使用します。
4-2. 退職書類一式の中に入っていないか確認する
退職後に会社から届いた封筒には、次のような書類がまとめて入っていることがあります。
雇用保険被保険者証
離職票-1、離職票-2
源泉徴収票
健康保険資格喪失証明書
退職証明書
雇用保険被保険者資格喪失確認通知書
雇用保険被保険者証と資格取得等確認通知書が一体になっている場合もあるため、書類の一部分だけを見て「入っていない」と判断しないようにしましょう。
4-3. 会社に問い合わせるべきケース
在職中に一度も受け取った記憶がなく、退職書類にも見当たらない場合は、前職の人事・総務担当者へ問い合わせます。
会社が保管したままになっている場合は、郵送などで返却してもらえる可能性があります。離職票も届いていない場合は、雇用保険の資格喪失手続きや離職票発行の進捗状況も確認しましょう。
離職票は、会社が必要な届出をハローワークへ提出し、ハローワークが発行した後、通常は会社を通じて本人へ交付されます。離職票を希望しているのに届かない場合は、早めの確認が必要です。mhlw.go.jp
4-4. ハローワークで確認できるケース
会社に連絡できない場合や、会社側にも書類が残っていない場合は、ハローワークで再交付を申請できます。
氏名、生年月日、過去の勤務先名などから加入記録を照合してもらえますが、勤務先情報が不十分だと確認に時間がかかることがあります。前職だけでなく、過去の勤務先名、所在地、おおよその在籍期間を整理しておきましょう。厚生労働省労働局+1
5. 雇用保険被保険者証を紛失した場合の再発行方法
5-1. ハローワーク窓口で再発行する方法
雇用保険被保険者証を紛失・破損した場合は、最寄りのハローワークで再交付を申請できます。
窓口では「雇用保険被保険者証再交付申請書」に、氏名、生年月日、住所、最後に勤務した会社の名称や所在地などを記入し、本人確認書類とともに提出します。厚生労働省労働局+1
加入記録を確認できれば、窓口で即日交付される場合もあります。ただし、混雑状況、受付時間、過去の勤務先情報の確認状況によっては、当日中に受け取れない可能性もあります。厚生労働省労働局
ハローワークによって雇用保険関係窓口の受付終了時刻が異なる場合があるため、来所前に確認しておくと安心です。
5-2. 郵送で再発行する方法
一部のハローワークでは、郵送による再交付申請も受け付けています。
一般的には、次の書類を送付します。
雇用保険被保険者証再交付申請書
本人確認書類の写し
切手を貼った返信用封筒
郵送先や必要書類はハローワークによって異なる可能性があるため、住所地を管轄するハローワークへ事前に確認しましょう。
郵送申請では、交付まで通常1週間程度と案内するハローワークもあれば、2週間程度かかると案内するハローワークもあります。急いでいる場合は、窓口申請を検討してください。厚生労働省労働局+1
5-3. e-Govで電子申請する方法
雇用保険被保険者証の再交付は、e-Gov電子申請でも手続きできます。
e-Govの手続き検索で「雇用保険被保険者証の再交付の申請」を選択し、必要事項を入力して申請します。原則として24時間365日利用できますが、メンテナンスなどによる停止時間があります。手続きには電子署名などの利用条件が設定されているため、画面の案内に従って準備してください。e-Gov電子申請
e-Gov電子申請は、基本的にパソコンで利用し、アカウント登録、利用環境の設定、アプリケーションのインストールなどが必要です。スマートフォンだけでは申請できない手続きがあるため注意しましょう。e-Gov電子申請
5-4. 再発行に必要な書類
窓口申請では、一般的に次のものを用意します。
雇用保険被保険者証再交付申請書
マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類
過去の勤務先名、所在地、在籍期間が分かる資料
顔写真付きの本人確認書類がない場合は、住民票など複数の書類が必要になることがあります。代理人が申請する場合は、委任状、代理人の本人確認書類、本人の確認書類の写しなどが必要です。厚生労働省労働局+1
郵送申請では、本人確認書類の原本ではなく写しを送付し、返信用封筒を同封するのが一般的です。詳細は申請先のハローワークの案内を確認してください。
5-5. 再発行にかかる期間と注意点
窓口では即日発行されることがありますが、過去の勤務先情報が確認できない場合や、同姓同名などで記録の特定に時間がかかる場合は、後日交付になる可能性があります。
郵送申請は往復の郵送期間と処理期間がかかるため、再就職先への提出期限が迫っている場合には向きません。
また、再発行後に古い雇用保険被保険者証が見つかった場合は、被保険者番号が同じか確認しましょう。異なる番号が記載されている場合は、加入記録が重複している可能性があるため、ハローワークへ相談してください。
6. フリーランスになる人は失業保険を受け取れる?
6-1. 失業保険を受け取るための基本条件
一般に失業保険と呼ばれる雇用保険の基本手当を受け取るには、雇用保険の加入期間だけでなく、「失業の状態」にあることが必要です。
失業の状態とは、就職する意思と能力があり、積極的に求職活動をしているにもかかわらず、職業に就いていない状態をいいます。
加入期間については、原則として離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。倒産や解雇などに該当する特定受給資格者や、一部の特定理由離職者は、離職日以前1年間に通算6か月以上あれば受給資格を得られる場合があります。ハローワーク+1
基本手当の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、所定給付日数が残っていても受給できなくなることがあります。mhlw.go.jp
6-2. 開業済み・開業準備中は失業状態とみなされにくい
フリーランスとして事業を開始した場合や、事業の準備に専念し始めた場合は、原則として失業の状態を満たさなくなります。
税務署へ開業届を出した日だけで判断されるわけではありません。案件の獲得、営業活動、事務所の契約、設備の購入、継続的な制作活動など、実際の活動状況から事業開始日や準備開始日が判断されることがあります。
ハローワークの案内でも、自営業の準備を開始した時点から基本手当の支給が停止されることがあるため、自営を行う意思が固まった段階で申し出るよう求められています。厚生労働省労働局+1
6-3. 副業からフリーランスになる場合の注意点
会社員時代から副業をしていた人が、退職後も同じ仕事を続ける場合は特に注意が必要です。
退職後の副業が小規模で、就職する意思と能力を保ちながら求職活動をしている場合には、働いた日や収入を申告したうえで基本手当の対象になる可能性があります。一方、副業を本業として継続し、事業に専念していると判断されれば、失業状態とは認められない可能性があります。
アルバイト、業務委託、内職などの名称や、収入の有無だけで判断されるわけではありません。ハローワークでは、原則として1日4時間未満の仕事を「内職・手伝い」、4時間以上を「就労・就職」として取り扱う案内がありますが、週20時間以上の継続的な仕事は就職と扱われることがあります。厚生労働省労働局
6-4. 不正受給にならないために申告すべきこと
失業保険を受給している間に仕事や事業活動をした場合は、収入がなくても申告が必要になることがあります。
特に、次の内容は必ずハローワークへ申し出ましょう。
業務委託やアルバイトで働いた日
1日ごとの作業時間
報酬や給与の金額と支払日
開業届を提出したこと
事業の準備を始めたこと
法人の役員や顧問に就任したこと
無償で家業や事業を手伝ったこと
自営を始めたことや準備したことを申告しない場合、収入がゼロでも不正受給と判断される可能性があります。不正受給になると、給付の停止や返還に加え、追加納付を命じられることがあります。ハローワーク+1
6-5. 判断に迷う場合はハローワークに相談する
フリーランスの活動内容や働き方は人によって異なるため、「開業届を出していないから受給できる」「売上がないから失業状態である」と自己判断するのは危険です。
案件への応募を始めた段階、契約を締結した段階、実際に業務を開始した段階など、どの日を事業開始日とするかは個別に判断されます。受給資格決定前や開業準備を始める前に、住所地を管轄するハローワークへ具体的な活動内容を伝えて確認しましょう。
7. フリーランスが知っておきたい再就職手当と受給期間の特例
7-1. 再就職手当とは
再就職手当とは、基本手当の受給資格がある人が、一定の支給日数を残して早期に安定した職業に就いた場合や、事業を開始した場合に支給される手当です。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上ある場合は支給残日数の70%、3分の1以上ある場合は60%に相当する額が支給されます。ハローワーク
失業保険を満額受け取ってから開業する場合だけでなく、早期に開業して再就職手当を申請する選択肢も検討できます。
7-2. フリーランス開業でも再就職手当を受け取れる可能性がある
再就職手当は会社への就職だけでなく、一定の条件を満たして自営業を開始した場合にも支給される可能性があります。
ただし、単に開業届を提出すれば受給できるわけではありません。事業を継続できる見込みや、実際に事業を行っていることを客観的に示す必要があります。
審査では、開業届、許認可証、事務所の契約書、業務委託契約書、請負契約書、設備の購入資料、帳簿、売上資料などが確認されることがあります。厚生労働省労働局
7-3. 再就職手当の主な受給条件
再就職手当を受け取るには、主に次の条件を満たす必要があります。
受給手続き後の7日間の待期期間が終了してから就職または事業を開始している
就職日や事業開始日の前日までの失業認定を受けている
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
原則として1年を超えて事業を継続できると認められる
過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給していない
受給資格決定前から就職や事業開始が確定していたものではない
会社へ再就職する場合には、前職との関係や雇用保険加入などの条件もあります。自営の場合は事業の継続性や実態が個別に審査されます。ハローワーク
自己都合退職などで給付制限がある人が自営を開始する場合、待期期間満了後1か月を経過してからの開始が対象になると案内されています。事業を始める時期は、必ず事前にハローワークへ確認してください。厚生労働省労働局
7-4. 開業届を出すタイミングの注意点
再就職手当を申請したいからといって、開業届の日付だけを調整するのは適切ではありません。
ハローワークでは、開業届の提出日だけでなく、事業の準備に専念し始めた日や、実際に営業・契約・業務を開始した日などを確認します。開業届を提出する前でも、準備状況によっては失業状態ではないと判断される可能性があります。
自営開始に伴う再就職手当の申請期限は、一般に自営開始日の翌日から1か月以内と案内されています。準備を始める前にハローワークへ相談し、必要な認定や申請の順序を確認しましょう。厚生労働省労働局
7-5. 離職後に事業を開始した場合の受給期間延長特例
離職後に事業を開始した人には、事業を行っている期間を基本手当の受給期間に算入しない特例があります。
基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、この特例を利用すると、事業を行っている期間について最大3年間、受給期間に算入しない扱いを受けられます。事業を休止・廃止した後に再び求職活動を始める場合、残っている基本手当を受給できる可能性があります。mhlw.go.jp+1
主な条件は、事業の実施期間が30日以上であること、対象事業について再就職手当や就業手当を受けていないこと、客観的な資料から事業の開始や実態を確認できることなどです。
申請期限は、事業を開始した日、事業に専念し始めた日、または事業の準備に専念し始めた日の翌日から2か月以内です。申請には、受給期間延長等申請書、離職票-2または受給資格者証、開業届の写しなどが必要です。mhlw.go.jp+1
8. フリーランスになる前に雇用保険まわりで確認すべき書類
8-1. 雇用保険被保険者証
将来再就職する可能性がある場合に備え、被保険者番号を確認して保管しておきましょう。
原本だけでなく、スマートフォンで撮影した画像やPDFデータも保存しておくと、紛失時に番号を確認しやすくなります。ただし、個人情報が記載されているため、共有端末や第三者が閲覧できるクラウドには保存しないよう注意してください。
8-2. 離職票
失業保険を申請する可能性がある場合は、離職票-1と離職票-2を受け取ります。
離職理由は、給付制限の有無や所定給付日数などに影響する可能性があります。会社が記載した離職理由が実態と異なる場合は、そのまま署名せず、会社またはハローワークへ申し出ましょう。
離職票が届かず会社へ連絡しても解決しない場合は、退職証明書などを持ってハローワークへ相談できます。mhlw.go.jp
8-3. 源泉徴収票
源泉徴収票は、退職した年の給与収入や源泉徴収税額などを確認する書類です。
年の途中で退職し、年内に再就職しない場合は、原則として自分で確定申告や還付申告を行う際に使用します。会社は、中途退職者に対して退職後1か月以内に給与所得の源泉徴収票を交付することとされています。国税庁
フリーランスとして得た事業所得とは別に、退職前の給与所得も確定申告へ反映する必要があるため、大切に保管しましょう。
8-4. 年金手帳・基礎年金番号通知書
会社員からフリーランスになると、厚生年金から国民年金への切り替えが必要になることがあります。
手続きでは基礎年金番号を確認するため、年金手帳、基礎年金番号通知書、基礎年金番号が分かる書類などを用意しておきましょう。配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の勤務先を通じて手続きするケースもあります。
8-5. 健康保険資格喪失証明書
退職後は、原則として次のいずれかの健康保険へ切り替えます。
国民健康保険へ加入する
以前の健康保険を任意継続する
家族の健康保険の被扶養者になる
国民健康保険への加入時には、勤務先の健康保険を脱退した日を確認するため、健康保険資格喪失証明書を求められることがあります。必要な場合は会社または日本年金機構へ発行を依頼しましょう。共済会健康保険+1
9. 雇用保険被保険者証に関するよくある質問
9-1. 雇用保険被保険者証がなくてもフリーランスになれる?
雇用保険被保険者証がなくてもフリーランスになれます。
開業届の提出、業務委託契約、確定申告などに雇用保険被保険者証は原則として必要ありません。ただし、将来の再就職や雇用保険関係の手続きに備え、被保険者番号は確認しておくことをおすすめします。
9-2. 雇用保険被保険者証がないと失業保険は申請できない?
雇用保険被保険者証がなくても、直ちに失業保険を申請できなくなるわけではありません。
基本手当の申請で重要なのは、原則として離職票-1と離職票-2です。雇用保険被保険者証は一般的な必須書類には含まれていません。加入記録や被保険者番号は、本人確認書類や過去の勤務先情報をもとにハローワークで確認できる場合があります。ハローワーク+1
ただし、離職票もない場合は受給資格の決定に影響するため、会社またはハローワークへ早めに相談しましょう。
9-3. 退職した会社に連絡したくない場合はどうする?
雇用保険被保険者証については、前の会社を通さず、ハローワークで再交付を申請できます。
窓口、郵送、e-Gov電子申請といった方法があるため、自分に適した方法を選びましょう。厚生労働省労働局+1
離職票が届かない場合も、会社が手続きに応じない事情をハローワークへ説明し、本人確認書類や退職証明書などを提出して相談できます。mhlw.go.jp
9-4. 個人事業主でも雇用保険に入れる?
個人事業主本人は、自分自身との間に雇用関係がないため、原則として雇用保険には加入できません。
ただし、個人事業を行いながら別の会社に労働者として雇用され、週20時間以上、31日以上の雇用見込みなどの要件を満たしている場合は、その雇用関係に基づいて加入することがあります。mhlw.go.jp+1
また、個人事業主が従業員を雇い、その従業員が加入要件を満たす場合は、事業主として雇用保険の加入手続きを行う必要があります。
9-5. 法人化して自分を役員にした場合は雇用保険の対象になる?
会社の取締役や役員は、原則として雇用保険の被保険者にはなりません。代表取締役は、基本的に雇用保険の対象外です。
ただし、役員であると同時に部長、支店長、工場長などの従業員としての身分を有し、勤務実態、賃金、指揮命令関係などから労働者性が強いと認められる兼務役員は、雇用保険に加入できる場合があります。mhlw.go.jp+1
役員報酬と従業員としての賃金の区分、就業規則の適用状況、出勤管理などを確認したうえで、会社所在地を管轄するハローワークへ相談しましょう。
まとめ
フリーランスとして仕事をするだけであれば、雇用保険被保険者証は原則として必要ありません。ただし、フリーランスから会社員へ再就職するときや、雇用保険の加入履歴を確認するときには、被保険者番号が必要になることがあります。
雇用保険被保険者証が手元にない場合は、まず退職書類や会社での保管状況を確認しましょう。紛失していても、ハローワークの窓口、郵送、e-Gov電子申請によって再交付を申請できます。
失業保険を申請する場合、雇用保険被保険者証よりも離職票が重要です。また、フリーランスとして事業を開始した場合や、開業準備に専念し始めた場合は、失業状態ではないと判断される可能性があります。
再就職手当や事業開始後の受給期間特例を利用できるケースもあるため、退職後すぐに開業する予定がある人は、営業活動や準備を始める前にハローワークへ相談し、手続きの順序と申請期限を確認しておきましょう。

