フリーランスの収支内訳書の書き方|白色申告で迷う経費・記入例・提出方法を初心者向けに解説
はじめに
フリーランスが白色申告をするとき、事業の売上や経費、所得金額をまとめる書類が「収支内訳書」です。売上の入金額をそのまま記入したり、自宅家賃を全額経費にしたりすると、帳簿や確定申告書との金額が合わなくなることがあります。
収支内訳書は、帳簿をもとに「年間の収入-必要経費=所得金額」を整理して記載する書類です。先に売上・経費・減価償却費を集計し、2ページ目の明細から1ページ目へ転記するとスムーズに作成できます。
本記事は、令和7年分の収支内訳書(一般用)と国税庁の手引きを前提に解説します。申告する年によって様式や取扱いが変わる可能性があるため、実際の提出時には対象年分の最新様式も確認してください。国税庁+1
1. フリーランスが提出する収支内訳書とは
1-1. 収支内訳書は1年間の売上・経費・所得を記載する書類
収支内訳書は、原則として1月1日から12月31日までの売上、仕入れ、必要経費、減価償却費などを集計し、事業所得または一定の業務に係る雑所得を計算する書類です。
基本的な計算関係は、次のとおりです。
収入金額-売上原価-必要経費-事業専従者控除=所得金額
サービス業のフリーランスで仕入れや棚卸資産がなければ、通常は「売上原価」が0円となり、売上から経費などを差し引いて所得を計算します。国税庁+1
1-2. 白色申告で収支内訳書の提出が必要になる人
事業所得、不動産所得または山林所得があり、青色申告をしていない人が確定申告書を提出する場合は、原則として収支内訳書を添付します。フリーランスの仕事が事業所得に該当する場合、一般的には白色申告用の収支内訳書を作成します。
業務に係る雑所得については取扱いが異なります。確定申告書に収支内訳書などの添付が必要になるのは、原則として、その年の前々年の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合です。国税庁+1
1-3. フリーランスは原則として「一般用」を使用する
Webデザイナー、ライター、エンジニア、コンサルタント、動画制作者、カメラマンなど、農業や不動産貸付業以外の仕事をするフリーランスは、通常「収支内訳書(一般用)」を使用します。
農業所得には農業所得用、不動産所得には不動産所得用の様式があります。複数の異なる事業を行っている場合や、農業・不動産所得もある場合は、所得区分に応じた書類を使い分けます。国税庁+1
1-4. 収支内訳書と確定申告書の違い
収支内訳書は、事業や業務の売上・経費・所得を計算するための書類です。一方、確定申告書は、給与所得や事業所得などの各所得、所得控除、源泉徴収税額などをまとめ、最終的な納税額または還付額を計算する書類です。
収支内訳書で計算した所得金額を確定申告書へ転記し、ほかの所得や控除と合算して税額を計算します。そのため、両書類の事業所得または雑所得の金額は一致していなければなりません。国税庁計算サイト+1
1-5. 収支内訳書と青色申告決算書の違い
白色申告者は収支内訳書、青色申告者は青色申告決算書を使用します。青色申告決算書は損益計算に加え、貸借対照表などを作成する欄があり、収支内訳書より記載項目が多い書類です。
青色申告では、要件を満たすことで青色申告特別控除や純損失の繰越控除などの特典を利用できます。白色申告では青色申告特別控除を差し引けません。国税庁+1
1-6. 副業フリーランスでも収支内訳書が必要になるケース
会社員の副業であっても、その活動が社会通念上、事業といえる規模・実態を備え、事業所得として確定申告する場合は、白色申告なら収支内訳書を添付します。
ただし、「売上が300万円を超えたら必ず事業所得」といった一律の基準ではありません。営利性、継続性、反復性、自己の計算と危険による活動か、帳簿書類を保存しているかなどを総合的に判断します。帳簿を保存していても、収入が継続的に僅少である場合や営利性が認められない場合は、個別判断になります。国税庁+2
国税庁+2
年末調整済みの給与所得者は、給与・退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合などに所得税の確定申告が必要です。20万円以下でも、医療費控除などのために確定申告をする場合は、副業所得も含めて申告します。住民税の申告については、所得税とは別に自治体へ確認が必要です。国税庁+1
2. 収支内訳書を書く前に準備するもの
2-1. 売上や報酬を確認できる請求書・支払調書
発行した請求書、納品書、売上管理表、業務委託契約書などを準備します。支払調書を受け取っている場合は、支払金額と源泉徴収税額の確認資料として利用できます。
ただし、売上は支払調書だけで集計してはいけません。支払調書が届いていない取引や、支払調書の作成対象外となる売上も含め、請求書や帳簿をもとに年間売上を確認します。
2-2. 経費を確認できる領収書・レシート・利用明細
領収書やレシートは、日付、支払先、金額、購入内容を確認できる状態にしておきます。レシートだけでは事業との関係が分かりにくい支出は、余白や帳簿に用途を記録しておくと説明しやすくなります。
会食費については、参加者、取引先との関係、打ち合わせの目的も記録しましょう。
2-3. 通帳・クレジットカード・決済サービスの明細
事業用口座の通帳、クレジットカード明細、QR決済、電子マネー、オンライン決済サービスの取引履歴を用意します。
明細だけでは取引内容が分からないことがあるため、領収書や請求書と突き合わせます。クレジットカードの引落総額を経費にするのではなく、各利用明細を勘定科目ごとに分けて集計することが必要です。
2-4. 売掛金・未払金を含む帳簿や売上台帳
白色申告の事業所得は、通常、実際に入出金した時点だけでなく、売上や費用が確定した時点を基準に計算します。
12月に納品を終えた仕事の報酬が翌年1月に入金される場合でも、その年の売上となることがあります。反対に、12月中に事業用サービスを利用し、支払いが翌年になった費用は、その年の未払経費として計上する場合があります。国税庁+1
2-5. パソコンやカメラなど固定資産の購入記録
10万円以上のパソコン、カメラ、モニター、机、業務用機材などを購入した場合は、購入日、使用開始日、取得価額、資産名、事業使用割合を確認します。
送料、初期設定費用、付属品など、資産を使用できる状態にするため直接要した費用が取得価額に含まれることもあります。
2-6. 自宅兼事務所の家賃・光熱費を按分するための資料
賃貸借契約書、部屋の間取り、作業スペースの面積、電気代や通信費の明細などを準備します。
家事按分は、単に「半分くらい」と決めるのではなく、使用面積、使用時間、使用日数、通信量など、支出の性質に合った合理的な基準で計算します。国税庁+1
2-7. 売上先・仕入先の名称や所在地が分かる資料
収支内訳書の明細には、主な売上先や仕入先の名称、所在地、取引金額を記載します。請求書、契約書、取引先マスタなどを見ながら整理しましょう。
登録番号や法人番号が分かる場合は、その資料も準備します。
3. フリーランスの収支内訳書を作成する基本手順
3-1. 1月1日から12月31日までの売上を集計する
対象年中に確定した売上を取引先別、月別に集計します。入金額ではなく、源泉徴収前の報酬額を売上にするのが基本です。
年末時点で未入金の売掛金も忘れずに含めます。前受金は、入金済みでも仕事が未完了で売上が確定していなければ、その年の売上にならない場合があります。
3-2. 経費を勘定科目ごとに分類する
経費を、通信費、旅費交通費、消耗品費、地代家賃などに分類します。同じ性質の支出は、毎年できるだけ同じ科目を使用すると帳簿が分かりやすくなります。
収支内訳書にない科目でも、継続的に金額が発生する場合は、空欄に「支払手数料」「新聞図書費」などを追加できます。国税庁+1
3-3. 事業とプライベートが混在する支出を家事按分する
家賃、電気代、インターネット代、スマートフォン代、自動車費などは、事業に使った部分だけを必要経費にします。
例えば、年間家賃144万円で、床面積の25%を仕事専用スペースとして使用している場合、合理的な事情があれば36万円を地代家賃として計上する方法が考えられます。
3-4. 減価償却が必要な資産を確認する
取得価額10万円以上の備品は、原則として購入年に全額を経費にせず、使用可能期間にわたって減価償却します。
10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産として3年間で均等に経費化する方法も選択できます。白色申告では、青色申告者向けの30万円未満の少額減価償却資産の特例は利用できません。国税庁+1
3-5. 収支内訳書の2ページ目から記入する
先に2ページ目の売上先別明細、仕入先別明細、減価償却費、地代家賃、利子割引料などを記入します。
明細の合計を確定させてから1ページ目へ転記すると、金額の不一致を防ぎやすくなります。国税庁
3-6. 2ページ目の合計を1ページ目へ転記する
売上明細の合計を1ページ目の「売上(収入)金額」へ、減価償却費の合計を「減価償却費」へ転記します。
地代家賃や利子割引料は、2ページ目に記載した必要経費算入額と、1ページ目の経費欄が一致しているか確認します。
3-7. 確定申告書の事業所得と金額が一致しているか確認する
収支内訳書の所得金額を、確定申告書の事業所得または雑所得の欄へ転記します。
源泉徴収税額は所得金額から差し引く経費ではありません。確定申告書の「所得の内訳」などに記入し、最終的な納税額の計算で差し引きます。国税庁+1
4. 収支内訳書1ページ目の書き方
4-1. 住所・氏名・業種名・屋号などの基本情報
住所、氏名、電話番号、事業所所在地、業種名、屋号などを記入します。自宅と事業所が同じ場合は、事業所所在地を省略できる入力方式もありますが、作成画面や様式の案内に従ってください。
業種名は「Webデザイン業」「Webライター業」「ソフトウェア開発業」など、仕事内容が分かるように具体的に記載します。国税庁+1
4-2. 「営業等」と「雑(業務)」の選び方
事業所得として申告する場合は「営業等」、業務に係る雑所得として収支内訳書を作成する場合は「雑(業務)」を選びます。
所得区分は本人の希望だけで決めるものではありません。活動の営利性、継続性、規模、帳簿の保存状況などを踏まえ、社会通念上事業といえるかどうかで判断します。国税庁+1
4-3. 売上(収入)金額の記入方法
売上欄には、その年に確定した報酬や商品販売代金の合計を記入します。
入金額の合計ではなく、売掛金を含む売上総額です。前年に売上計上済みで、当年に入金された売掛金を重ねて当年売上にしないよう注意します。国税庁
4-4. 源泉徴収された報酬は差引前の金額で記入する
請求額110万円、源泉徴収税額10万2,100円、振込額99万7,900円だった場合、売上は原則として110万円です。
源泉徴収税額は事業の経費ではなく、所得税の前払いに相当します。売上を振込額で記入すると、収入が過少になります。
4-5. 年末時点で未入金の売掛金を売上に含める方法
12月に業務が完了し、報酬50万円が翌年1月に入金される場合、その50万円は通常、12月までの売上に含めます。
帳簿では「売掛金50万円/売上50万円」として記録し、翌年の入金時に売掛金を消し込みます。収支内訳書には貸借対照表がありませんが、売掛金台帳を作成しておくと翌年の二重計上を防げます。国税庁
4-6. 家事消費・その他の収入に記入するもの
家事消費には、販売用の商品を自分や家族のために使用した場合などの金額を記入します。サービス業で販売商品がなければ、通常は0円です。
その他の収入には、事業に関連するリベート、作業くずの売却代金、課税対象となる助成金、税込経理を採用している場合の消費税還付額などを記載することがあります。国税庁+1
4-7. 仕入れがないフリーランスの売上原価欄の扱い
Web制作、ライティング、コンサルティングなど、商品を仕入れて販売する事業でなければ、期首棚卸高、仕入金額、期末棚卸高は原則として0円です。
外部デザイナーやライターへの支払いは、転売商品の仕入れではなく、通常は外注工賃として処理します。
4-8. 売上原価と差引金額の計算方法
商品を扱う場合の売上原価は、次の式で計算します。
期首棚卸高+年間仕入金額-期末棚卸高=売上原価
収入金額から売上原価を差し引いた金額が「差引金額」です。仕入れがないフリーランスは、通常、差引金額と収入金額が同額になります。
4-9. 経費合計から所得金額を計算する方法
給料賃金から雑費までの必要経費を合計し、差引金額から経費合計を差し引きます。
事業専従者控除を利用する場合は、専従者控除前の所得から控除額を差し引き、最終的な所得金額を計算します。国税庁+1
5. 収支内訳書の経費欄の書き方と勘定科目
5-1. 給料賃金|従業員に支払った給与
雇用契約を結んだ従業員に支払う給与、賞与、現物給与などを記入します。外部のフリーランスへの業務委託費は、通常、給料賃金ではなく外注工賃です。
事業主本人への給与や生活費の引き出しは経費になりません。国税庁
5-2. 外注工賃|外部のフリーランスや制作会社への報酬
デザイン、記事制作、コーディング、動画編集などを外部へ委託した費用を記入します。
外注先との契約内容が実質的に雇用である場合は、税務・労務上の扱いが変わる可能性があります。契約書、請求書、成果物などを保管しましょう。
5-3. 減価償却費|高額なパソコン・カメラ・機材
パソコン、カメラ、事務机、車両など、複数年使用する資産の当年分の減価償却費を記入します。
2ページ目の「減価償却費の計算」で資産ごとに計算し、その合計を1ページ目へ転記します。国税庁+1
5-4. 貸倒金|回収できなくなった売掛金
取引先の破産などにより、売掛金を客観的に回収できない状態になった場合の損失です。
入金が遅れているだけでは、直ちに貸倒金にはできません。回収不能の事実や督促記録などを残しておく必要があります。国税庁
5-5. 地代家賃|事務所や自宅兼事務所の家賃
事務所、店舗、倉庫、駐車場などの賃料を記入します。自宅兼事務所の場合は、事業に使用する部分のみが経費です。
敷金は返還予定の資産であり、通常は支払時の経費になりません。礼金や権利金は、金額や契約内容により繰延資産となることがあります。
5-6. 利子割引料|事業用借入金の利息
事業資金の借入金に対する利息を記入します。借入金の元本返済部分は経費ではありません。
事業用と私用が混在する借入れは、事業に対応する利息だけを必要経費にします。国税庁+1
5-7. 租税公課|個人事業税・印紙税・固定資産税など
個人事業税、印紙税、登録免許税、事業用資産の固定資産税、自動車税の事業使用分などを記入します。
所得税、復興特別所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料、延滞税、加算税、交通反則金などは必要経費になりません。国税庁
5-8. 荷造運賃|商品の梱包費や配送費
商品や資料の発送に使った段ボール、緩衝材、宅配便、郵便小包などの費用です。
単なる書類郵送費は通信費でも構いません。重要なのは、同じ種類の支出を継続して同じ科目で処理することです。
5-9. 水道光熱費|電気・ガス・水道料金
事務所の電気代、水道代、ガス代などを記入します。自宅兼事務所では、事業使用分を按分します。
パソコン作業が中心なら、電気代は仕事時間や使用機器などを考慮して合理的に計算します。
5-10. 旅費交通費|電車・バス・タクシー・宿泊費
取引先訪問、撮影、出張、セミナー参加など、事業目的の移動費や宿泊費を記入します。
交通系ICカードへチャージした時点ではなく、原則として実際に事業で利用した金額を経費にします。私用分が混在する場合は利用履歴で区分します。
5-11. 通信費|電話・インターネット・郵送料
スマートフォン、固定電話、インターネット回線、切手、郵送料、業務用サーバー代などを記入します。
私用でも利用するスマートフォンや回線は、業務使用割合だけを経費にします。
5-12. 広告宣伝費|Web広告・名刺・ポートフォリオ制作費
検索広告、SNS広告、チラシ、名刺、営業用パンフレット、ポートフォリオサイトの制作費などを記入します。
長期間利用する高額なWebシステムやソフトウェアは、内容によって固定資産や繰延資産になる場合があります。
5-13. 接待交際費|取引先との会食や贈答品
取引先との会食、手土産、中元・歳暮など、事業関係者との関係維持に必要な費用を記入します。
誰と、何の目的で支出したかを説明できるように記録します。家族や友人との私的な飲食は経費になりません。
5-14. 損害保険料|事業用資産にかかる保険料
事務所の火災保険、事業用車両の自動車保険、業務用機材の保険などを記入します。
自宅や自動車を私用と共用している場合は、事業部分だけを按分します。生命保険料は通常、必要経費ではなく、要件を満たせば所得控除の対象です。
5-15. 修繕費|パソコンや事業用設備の修理費
事業用パソコン、カメラ、車両、設備などを元の状態へ戻す修理費を記入します。
性能や価値を大きく向上させたり、使用可能期間を延ばしたりする支出は、修繕費ではなく資本的支出として減価償却することがあります。国税庁
5-16. 消耗品費|文房具・備品・少額の機器
文房具、コピー用紙、ケーブル、少額の周辺機器などを記入します。
取得価額10万円未満、または使用可能期間が1年未満の減価償却資産は、原則として使用開始時に全額を必要経費にできます。国税庁+1
5-17. 福利厚生費|従業員のために支出した費用
従業員の健康診断、慰安行事、社会保険料の事業主負担分などを記入します。
事業主本人だけの健康診断、スポーツクラブ、慰安旅行などは、原則として福利厚生費になりません。国税庁
5-18. 雑費|ほかの科目に当てはまらない少額の経費
事業上必要で、ほかの勘定科目に当てはまらない少額かつ一時的な支出を記入します。
何でも雑費にまとめると事業内容が分かりにくくなります。継続的、または金額が大きい支出には、専用の科目を設けましょう。
5-19. 空欄に追加できる新聞図書費・支払手数料・会議費など
空欄には、新聞図書費、支払手数料、会議費、ソフトウェア利用料、研修費などを追加できます。
振込手数料や決済手数料が多いフリーランスは「支払手数料」、業務用書籍が多い人は「新聞図書費」を設けると管理しやすくなります。国税庁
6. フリーランスが経費にできるもの・できないもの
6-1. 自宅家賃を経費にする家事按分の考え方
自宅家賃は、仕事で使用する部分を明確に区分できる場合、その部分を経費にできます。
床面積を基準にする方法が一般的ですが、リビングを仕事時間だけ使用する場合は、面積だけでなく使用時間も考慮した方が実態に合うことがあります。按分方法と計算根拠を毎年保存しましょう。国税庁+1
6-2. 電気代・インターネット代・スマホ代の按分方法
電気代は作業時間、インターネット代は業務使用時間、スマートフォン代は通話履歴や利用実態などを基準に按分します。
例えば月額1万円の通信費を業務60%、私用40%で利用している場合、月6,000円、年間7万2,000円を経費とする計算です。
6-3. パソコン・モニター・カメラ・周辺機器の扱い
10万円未満の機器は、原則として消耗品費などで一括計上できます。10万円以上は、通常、固定資産として減価償却します。
複数の機器がそれぞれ独立して機能する場合は、原則として1台ごとに取得価額を判定します。ただし、一体でなければ機能しない設備はセットで判定することがあります。
6-4. ソフトウェア・クラウドサービス・サブスク料金
月額または年額で利用するデザインツール、クラウドストレージ、オンライン会議システムなどは、事業使用分を通信費、支払手数料、ソフトウェア利用料などで処理します。
買い切り型の高額ソフトウェアや長期間利用するシステムは、無形固定資産として減価償却が必要になる場合があります。
6-5. 書籍・セミナー・資格取得費用
現在の事業に直接必要な専門書、業務関連セミナー、研修費は経費にできます。
一方、事業との関連が薄い一般教養の講座や、個人的な進学・転職準備に近い資格取得費は経費として認められにくくなります。受講内容と現在の業務との関係を説明できることが重要です。
6-6. コワーキングスペースやカフェの利用代
コワーキングスペースやレンタル会議室の利用料は、事業目的であれば経費にできます。
カフェ代は、そこで仕事をしたという理由だけで必ず全額が経費になるわけではありません。取引先との打ち合わせなら会議費などにできますが、自分だけの通常の飲食代は生活費と判断されやすいため、目的と内容を慎重に区分します。
6-7. 取引先との飲食代と自分だけの食事代の違い
取引先との商談、打ち合わせ、関係維持のための飲食代は、会議費や接待交際費として処理できます。
自分だけの昼食や夕食は、仕事中に食べたとしても通常の生活費であり、原則として経費になりません。
6-8. スーツ・衣服・美容代が経費になりにくい理由
一般的なスーツ、靴、化粧品、美容院代は、仕事以外でも利用できるため、家事費と判断されやすい支出です。
舞台衣装、撮影専用の衣装、業務上着用が義務付けられた制服など、私用できず事業専用であることが明確なら、経費にできる余地があります。
6-9. 国民健康保険料・国民年金・所得税を経費にしない理由
国民健康保険料や国民年金保険料は事業経費ではありませんが、確定申告書で社会保険料控除の対象になります。
所得税、復興特別所得税、住民税も事業経費にはなりません。収支内訳書の租税公課へ入れないようにしましょう。国税庁
6-10. 事業用と私用が混在する車両費・ガソリン代
事業と私用の両方に使う車は、走行距離、使用日数などをもとに事業分を按分します。
ガソリン代、駐車場代、保険料、自動車税、車検費用、減価償却費なども、原則として同様に事業使用割合を反映します。
6-11. 開業前に支払った費用の処理方法
事業開始前に、開業準備のため特別に支出した広告費、調査費、打ち合わせ費などは「開業費」として繰延資産に計上できる場合があります。
開業費は60か月で均等償却するほか、未償却残高の範囲で任意の金額を経費化する方法もあります。ただし、開業前に購入したパソコンなどの固定資産は開業費にまとめず、資産として処理します。国税庁+1
6-12. 領収書がない支出を経費にする際の注意点
領収書がないだけで直ちに経費にできなくなるとは限りませんが、支出の事実、金額、日付、相手先、事業目的を客観的に説明できる資料が必要です。
銀行明細、カード明細、請求メール、注文履歴、交通履歴などを保存し、必要に応じて帳簿へ詳細を記録します。電子メールやWeb上で受け取った請求書・領収書は、電子取引データとして所定の方法で保存する必要があります。国税庁
7. 収支内訳書2ページ目の書き方
令和7年分様式では、売上・仕入れ・減価償却費・地代家賃・利子割引料・特殊事情は2ページ目にあります。一方、給料賃金、税理士・弁護士等への報酬、事業専従者の欄は1ページ目右側に配置されています。対象年分の実際の様式を確認しながら記入してください。国税庁+1
7-1. 売上先別の売上(収入)金額の明細
主な売上先について、名称、所在地、登録番号または法人番号、年間売上額を記入します。
各売上先の金額と「上記以外の売上先の計」を合計し、1ページ目の売上金額と一致させます。
7-2. 売上先が多くて記入欄に収まらない場合の対応
取引金額の大きな売上先を個別に記載し、残りを「上記以外の売上先の計」にまとめます。
別紙明細を作成する場合は、収支内訳書との対応関係が分かるようにします。帳簿には、記入欄に載せなかった売上先を含め、全取引を記録しておきます。
7-3. 登録番号・法人番号・所在地の記入方法
適格請求書発行事業者の登録番号を記載する場合は、先頭の「T」と13桁の数字を記入します。法人番号を記載する場合は、法人の13桁の番号を使用します。
番号を記入しても、売上先名と所在地を省略できるわけではありません。番号が分からない場合は、無理に推測せず、名称・所在地と売上額を正確に記載します。国税庁+1
7-4. 仕入先別の仕入金額の明細
商品や材料を仕入れている場合は、主な仕入先の名称、所在地、番号、年間仕入額を記入します。
サービス業で仕入れがなければ空欄または0円です。外注費を仕入金額へ混ぜないようにしましょう。
7-5. 給料賃金の内訳の記入方法
従業員の氏名、年齢、従事月数、給与賃金、源泉徴収税額などを記入します。令和7年分様式では1ページ目にあります。
給与から源泉徴収した所得税は、年末調整後の金額など、手引きに従って記載します。国税庁+1
7-6. 税理士・弁護士等の報酬・料金の内訳
税理士や弁護士などに支払うことが確定した報酬、必要経費算入額、源泉徴収税額を記入します。
年末時点で未払いでも、その年中に支払いが確定した報酬は含める場合があります。家事や相続など、事業以外の相談料が混在する場合は、必要経費になる部分だけを区分します。国税庁
7-7. 報酬から差し引かれた源泉徴収税額の記入方法
収支内訳書の税理士・弁護士等の欄に記載する源泉徴収税額は、原則として、フリーランスが専門家へ報酬を支払う際に差し引いた税額です。
取引先がフリーランス本人への報酬から差し引いた源泉徴収税額は、売上から控除せず、確定申告書の所得の内訳などに記入します。国税庁+1
7-8. 事業専従者の氏名・続柄・従事月数の記入方法
生計を一にする配偶者や親族が、一定期間、事業に専ら従事している場合は、氏名、年齢、続柄、従事月数を記入します。
別の会社に常勤しているなど、事業に専ら従事しているといえない場合は、事業専従者に該当しない可能性があります。
7-9. 事業専従者控除を適用するときの注意点
白色申告の事業専従者控除は、配偶者なら最高86万円、配偶者以外の親族なら1人につき最高50万円です。ただし、専従者控除前の所得を「専従者数+1」で割った金額とのいずれか少ない金額が限度です。
対象者は、原則として15歳以上で、生計を一にし、その年に6か月を超える期間、事業へ専ら従事している必要があります。業務に係る雑所得には適用できません。国税庁+1
7-10. 本年中における特殊事情欄に記載する内容
災害、長期休業、廃業、事業内容の大幅な変更、特殊な収入・損失など、通常の数字だけでは状況を説明しにくい事項を記載します。
特に記載すべき事情がなければ、無理に埋める必要はありません。
8. パソコンなどの減価償却費の書き方
8-1. 購入代金をその年の経費にできるものと減価償却するもの
取得価額10万円未満、または使用可能期間が1年未満の資産は、原則として使用開始時に全額を必要経費にできます。
10万円以上の資産は、通常、耐用年数にわたって減価償却します。金額の判定は、免税事業者なら原則として消費税込み、課税事業者は採用している税込・税抜経理に合わせます。国税庁+1
8-2. 10万円以上の備品を購入した場合の基本的な扱い
10万円以上20万円未満なら、通常の減価償却または一括償却資産を選べます。
20万円以上のパソコンなどは、白色申告では原則として通常の減価償却が必要です。
8-3. 一括償却資産として処理できるケース
取得価額10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産として、使用開始年から3年間、取得価額の3分の1ずつを必要経費にできます。
通常の減価償却と異なり、年の途中で購入しても月数按分をせず、原則として各年3分の1です。国税庁+1
8-4. 白色申告では少額減価償却資産の特例を使えない点に注意
取得価額30万円未満の減価償却資産を購入年に一括経費化できる特例は、一定の青色申告者を対象とする制度です。
白色申告者は利用できないため、例えば25万円のパソコンは、原則として通常の減価償却を行います。国税庁+1
8-5. 取得価額・耐用年数・償却率の確認方法
取得価額には、本体価格だけでなく、送料や設置費など、使用できる状態にするために直接要した費用を含むことがあります。
パーソナルコンピューターは、サーバー用を除き法定耐用年数4年が一般的です。耐用年数に対応する償却率を国税庁の表で確認します。国税庁+1
8-6. 年の途中で購入した資産の使用月数
通常の減価償却では、購入日ではなく、事業で使い始めた月から12月までの月数を使用します。使用開始月は1か月として数えます。
7月に使用開始した場合は、7月から12月までの6か月です。国税庁+1
8-7. 事業で使用した割合を反映する事業専用割合
私用と共用する資産は、計算した減価償却費に事業使用割合を掛けます。
年間減価償却費が6万円、事業使用割合が80%なら、必要経費にできる金額は4万8,000円です。
8-8. 収支内訳書2ページ目から1ページ目へ転記する方法
2ページ目の資産ごとの「本年分の必要経費算入額」を合計し、合計欄へ記入します。
その合計額を1ページ目の「減価償却費」に転記します。資産台帳の当年償却額とも照合しましょう。国税庁
9. フリーランスの収支内訳書の記入例
9-1. Webデザイナーを例にした売上と経費の前提条件
税込経理を採用するWebデザイナーについて、次の条件で計算します。
年間売上は600万円です。このうちA社への請求額330万円は、報酬300万円と消費税30万円が区分され、源泉徴収税額30万6,300円、実際の入金額は299万3,700円とします。B社売上は180万円、C社売上は90万円で、C社売上のうち50万円は12月末時点で未入金です。
9-2. 源泉徴収された売上の記入例
A社売上は、入金額299万3,700円ではなく、源泉徴収前の330万円を売上に含めます。
源泉徴収税額30万6,300円は必要経費にせず、確定申告書で所得税の前払い額として申告します。
9-3. 未入金の請求書がある場合の記入例
C社の未入金50万円も、その年中に業務が完了し報酬が確定していれば、その年の売上に含めます。
この例では、銀行などへ実際に入金された金額の合計は519万3,700円ですが、売上金額は600万円です。差額80万6,300円は、源泉徴収税額30万6,300円と売掛金50万円で構成されます。
9-4. 仕入れがない場合の売上原価欄の記入例
Webデザインサービスのみを提供し、販売商品や材料の仕入れがなければ、期首棚卸高、仕入金額、期末棚卸高、売上原価はすべて0円です。
この場合、差引金額は売上と同じ600万円になります。
9-5. 自宅家賃と通信費を家事按分する記入例
年間家賃144万円のうち、仕事専用スペースが床面積の25%なら、地代家賃は36万円です。
年間のスマートフォン・インターネット代18万円を事業60%で使用している場合、通信費は10万8,000円です。計算根拠となる間取りや使用実態を記録しておきます。
9-6. パソコンを購入した場合の減価償却費の記入例
7月に24万円のパソコンを購入して使用を開始し、事業使用割合を80%とします。パソコンの耐用年数を4年、定額法の償却率を0.250とすると、当年の必要経費は次のとおりです。
24万円×0.250×6か月÷12か月×80%=2万4,000円
白色申告では30万円未満の少額減価償却資産の特例を利用できないため、この例では購入年に24万円全額を消耗品費にしません。
9-7. 経費合計と事業所得を計算する記入例
このWebデザイナーの経費を、次のとおりとします。
| 科目 | 金額 |
|---|---|
| 外注工賃 | 600,000円 |
| 地代家賃 | 360,000円 |
| 通信費 | 108,000円 |
| 水道光熱費 | 45,000円 |
| 旅費交通費 | 180,000円 |
| 広告宣伝費 | 120,000円 |
| 接待交際費 | 60,000円 |
| 消耗品費 | 150,000円 |
| 支払手数料 | 90,000円 |
| 新聞図書費 | 70,000円 |
| ソフトウェア利用料 | 240,000円 |
| 減価償却費 | 24,000円 |
| 租税公課 | 30,000円 |
| 修繕費 | 20,000円 |
| 損害保険料 | 25,000円 |
| 雑費 | 15,000円 |
| 合計 | 2,137,000円 |
所得金額は、次のように計算します。
売上6,000,000円-経費2,137,000円=事業所得3,863,000円
9-8. 収支内訳書と確定申告書へ転記する金額の確認
収支内訳書1ページ目の売上は600万円、経費合計は213万7,000円、所得金額は386万3,000円です。
確定申告書の事業所得にも386万3,000円を転記します。源泉徴収税額30万6,300円は所得から差し引かず、確定申告書の源泉徴収税額として別に入力します。
10. 収支内訳書で間違えやすいポイント
10-1. 源泉徴収後の入金額を売上として記入してしまう
売上は源泉徴収前の報酬額です。通帳の入金額だけを合計すると、源泉徴収税額分だけ売上が少なくなります。
請求書、支払調書、入金明細を突き合わせて確認しましょう。
10-2. 12月分の未入金売上を翌年の売上にしてしまう
12月中に業務が完了して報酬が確定している場合は、翌年入金でも原則として当年売上です。
請求書の発行日だけではなく、納品日、検収日、契約上の報酬確定時点を確認します。国税庁
10-3. プライベートの支出を全額経費にしてしまう
家賃、通信費、光熱費、自動車費などは、私用分を除かなければなりません。
合理的な按分基準と計算過程を保存し、毎年一貫して適用します。国税庁
10-4. クレジットカードの引落日を経費計上日にしてしまう
原則として、カード利用代金が銀行から引き落とされた日ではなく、商品を購入した日やサービスを受けた日を基準に経費を計上します。
12月利用分が翌年2月に引き落とされても、当年の経費になることがあります。
10-5. 高額な備品を消耗品費として一括計上してしまう
10万円以上のパソコンや機材は、原則として減価償却が必要です。
「仕事に必要だったから」という理由だけでは、購入年に全額を消耗品費へ計上できません。国税庁+1
10-6. 所得税や住民税を租税公課に含めてしまう
所得税、復興特別所得税、住民税は必要経費ではありません。
国民健康保険料や国民年金保険料も経費ではなく、確定申告書の所得控除で処理します。国税庁
10-7. 事業主本人の生活費や給与を経費にしてしまう
個人事業主が自分へ支払う給与は経費になりません。事業用口座から生活費を引き出した場合は、帳簿上「事業主貸」などで処理します。
生活費、家族旅行、私的な飲食代なども経費から除外します。
10-8. 売上・経費の合計が帳簿と一致していない
収支内訳書は帳簿の年間合計を転記する書類です。帳簿、売上台帳、経費集計表、固定資産台帳の金額と照合します。
売上は売上先別、経費は科目別に集計し、合計が一致しない場合は原因を確認してから提出します。
10-9. 収支内訳書と確定申告書の所得金額が一致していない
収支内訳書で計算した所得金額を、確定申告書へ正確に転記します。
作成コーナーで収支内訳書から続けて確定申告書を作成すると、自動連携されるため転記ミスを防ぎやすくなります。国税電子申告・納税システム+1
10-10. 消費税の税込経理と税抜経理が混在している
税込経理では、原則として消費税を含む金額で売上・経費・固定資産を計算します。税抜経理では、原則として消費税を区分して処理します。
同じ年度内で税込と税抜が混在すると、所得金額や減価償却費が正しく計算できません。免税事業者は、原則として消費税込みの金額で必要経費などを計算します。国税庁+1
11. 収支内訳書の作成方法
11-1. 国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成する
国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って売上や経費を入力し、収支内訳書と確定申告書を作成できます。
計算が自動で行われ、作成後はe-Taxで送信するか、印刷して提出できます。国税庁+1
11-2. 会計ソフトで帳簿から自動作成する
会計ソフトを使えば、日々の仕訳から科目別の年間合計を集計し、収支内訳書を作成できます。
銀行口座やカードを連携する場合でも、私用取引の除外、勘定科目、家事按分、固定資産の登録内容は自分で確認する必要があります。
11-3. Excelやスプレッドシートで集計して手書きする
Excelやスプレッドシートで、日付、取引先、内容、売上、経費科目、金額を記録し、年間合計を収支内訳書へ転記する方法もあります。
手書きで提出する場合は、対象年分の正式な様式を使用し、機械読取り用の書類は黒のボールペンなど指定された方法で記入します。国税庁
11-4. スマートフォンから作成する
国税庁の作成コーナーは、スマートフォンから収支内訳書と確定申告書を作成し、マイナンバーカードを使ってe-Tax送信できます。
入力項目が多い場合や、売上先・固定資産が多い場合は、パソコンや会計ソフトの方が作業しやすいこともあります。国税庁+1
11-5. 初心者に確定申告書等作成コーナーが向いている理由
入力内容に応じて必要な欄が表示され、自動計算や確定申告書への連携が行われるため、手計算や転記のミスを減らせます。
初めて作成する場合は、先に帳簿と資料を整えたうえで、「決算書・収支内訳書+所得税」から作成を始めるとスムーズです。国税電子申告・納税システム+1
12. 収支内訳書の提出方法
12-1. 確定申告書に添付して提出する
収支内訳書は、白色申告の所得計算書類として確定申告書と一緒に提出します。
通常は、収支内訳書だけで税額を申告することはできません。国税庁計算サイト
12-2. e-Taxでオンライン提出する方法
作成コーナーや対応する会計ソフトから、収支内訳書と確定申告書をまとめて送信します。
送信後は、受信通知を確認し、申告データや受付結果を保存します。添付が必要な書類の一部は、対応していればPDF形式のイメージデータで提出できます。国税電子申告・納税システム+1
12-3. 税務署の窓口へ持参する方法
住所地を管轄する税務署の窓口へ持参できます。税務署の時間外収受箱へ投函する方法もあります。
業務センターは郵送先となる場合がありますが、原則として直接持参する場所ではありません。国税庁
12-4. 郵送で提出する方法
確定申告書と収支内訳書を、所轄税務署または指定された業務センターへ郵送します。
税務書類は信書に該当するため、郵便または信書便を利用します。郵便・信書便では通信日付印の日が提出日とみなされるため、期限内の日付になるよう余裕をもって発送します。国税庁
12-5. 収支内訳書だけを別に提出しないよう注意する
通常の確定申告では、収支内訳書と確定申告書を同時に提出します。別々に送ると、添付漏れとして確認に時間がかかることがあります。
提出後に収支内訳書の添付漏れに気付いた場合は、自己判断で重複申告をせず、所轄税務署の案内に従って不足書類を提出します。
12-6. 提出後に誤りが見つかった場合の対応
申告期限内なら、正しい内容で申告書一式を作り直して再提出します。e-Taxでは、訂正部分だけでなく、原則としてすべての帳票を再送信します。国税電子申告・納税システム
申告期限後に、税額を少なく申告していた場合は修正申告を行います。税額を多く申告していた場合は、原則として法定申告期限から5年以内に更正の請求を行います。国税庁+1
12-7. 帳簿・領収書・請求書を提出せず保管する方法
通常、帳簿、領収書、請求書、通帳などを収支内訳書へ添付して提出する必要はありません。税務署から提示や提出を求められた場合に確認できるよう、整理して保管します。
白色申告の事業所得者は、収入や必要経費を記載した法定帳簿を7年間、任意帳簿や請求書・領収書などの書類を原則として5年間保存します。消費税やインボイス制度に関係する書類には、別の保存期間が適用されることがあります。国税庁+1
13. フリーランスの収支内訳書に関するよくある質問
13-1. 売上が少なくても収支内訳書は必要?
売上の多寡だけでは決まりません。事業所得があり、白色申告で確定申告書を提出する場合は、所得が少なくても原則として収支内訳書を添付します。
業務に係る雑所得の場合、収支内訳書などの添付義務は、原則として前々年の収入金額が1,000万円を超える人が対象です。国税庁+1
13-2. 赤字の場合も収支内訳書を提出する?
事業所得の赤字を確定申告する場合も、売上、経費、赤字額を記載した収支内訳書を提出します。
事業所得の損失は、一定の範囲で給与所得などと損益通算できる可能性があります。一方、業務に係る雑所得の赤字は、原則としてほかの所得と損益通算できません。
13-3. 開業届を出していなくても収支内訳書は作成できる?
開業届の提出状況と、所得税の申告義務や所得計算は別の問題です。開業届を出していなくても、事業所得として申告すべき実態があれば収支内訳書を作成できます。
ただし、所得区分が事業所得になるか雑所得になるかは、活動の実態をもとに判断します。
13-4. 会社員の副業は事業所得と雑所得のどちらになる?
副業だから必ず雑所得、本業だから必ず事業所得というわけではありません。
営利性、継続性、規模、投入時間、設備、帳簿書類の保存、主たる収入との関係などを総合的に判断します。300万円という金額だけで自動的に区分が決まるわけではありません。国税庁+1
13-5. 支払調書が届かなくても売上を記入する?
支払調書が届いていなくても、その年の売上として確定した報酬は記入します。
請求書、契約書、通帳、売上台帳などをもとに、源泉徴収前の正しい売上額を集計します。
13-6. 売上先が個人の場合も明細に記入する?
個人の依頼主であっても、主な売上先であれば氏名または事業名、所在地、売上額を記入します。
不特定多数の一般消費者との少額取引が多い業種では、帳簿を整えたうえで、様式の「上記以外の売上先の計」などを利用します。
13-7. インボイス登録をしていない場合の記入方法は?
インボイス登録をしていなくても、売上と経費は通常どおり記入します。登録番号がなければ、登録番号欄へ存在しない番号を記載する必要はありません。
免税事業者は、原則として消費税を含む金額で売上、経費、固定資産を計算します。国税庁
13-8. 領収書やレシートを紛失した場合はどうする?
再発行を依頼できる場合は、まず支払先へ相談します。再発行できなければ、カード明細、通帳、注文履歴、請求メールなどを保存し、支出内容と事業目的を帳簿へ記録します。
証拠がまったくなく、事業との関係も説明できない支出を経費にするのは避けましょう。
13-9. 収支内訳書は手書きで作成してもよい?
正式な様式を使用すれば、手書きでも提出できます。数字の書き間違いや転記漏れを防ぐため、先に集計表を完成させてから記入しましょう。
計算に不安がある場合は、自動計算に対応した確定申告書等作成コーナーが便利です。国税庁+1
13-10. 白色申告から青色申告へ変更するタイミングは?
原則として、青色申告を始めたい年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。その年の1月16日以後に新規開業した場合は、原則として業務開始日から2か月以内です。国税庁
青色申告は、日々の帳簿付けを始める年の初めから準備するのが理想です。売上や経費が増えた、固定資産や売掛金が多くなった、青色申告特別控除を利用したいと感じた段階で、翌年分からの変更を検討しましょう。
まとめ
フリーランスの収支内訳書は、1年間の売上、必要経費、減価償却費などを集計し、白色申告の事業所得を計算する書類です。
作成時は、源泉徴収前の売上を記入すること、年末の未入金売上を含めること、家事関連費を合理的に按分すること、10万円以上の備品について減価償却の要否を確認することが重要です。
売上先や減価償却費などの明細を先に作成し、その合計を1ページ目へ転記したうえで、収支内訳書の所得金額と確定申告書の所得金額が一致しているか確認しましょう。日頃から売上台帳、経費帳、固定資産台帳を整えておけば、翌年以降の収支内訳書も短時間で正確に作成できます。

