フリーランスの履歴書はどう書く?職歴・職務経歴書の書き方と例文をわかりやすく解説
はじめに
フリーランスとして働いた経験がある場合、履歴書の職歴欄にどう書けばよいか迷う人は少なくありません。「会社に入社したわけではないから職歴に書けないのでは」「個人事業主と業務委託はどう表記すればよいのか」「案件名や取引先名を書いても問題ないのか」など、不安を感じやすいポイントは多くあります。
結論からいうと、フリーランス経験は履歴書に書いて問題ありません。むしろ、応募先に自分の経験やスキルを正しく伝えるためには、職歴として整理して記載したほうがよいケースが多いです。
ただし、会社員の職歴とは異なり、「入社」「退職」といった表現が合わない場合があります。また、履歴書だけでは実績や担当業務を詳しく伝えきれないため、職務経歴書やポートフォリオとあわせて準備することも大切です。
この記事では、フリーランスの履歴書の書き方について、職歴欄の基本ルール、ケース別の例文、職務経歴書の作り方、自己PRや志望動機の書き方までわかりやすく解説します。
1. フリーランスの履歴書はどう書く?まず押さえる基本
1-1. フリーランス経験は履歴書に書いてよい
フリーランスとして働いていた期間は、履歴書の職歴欄に記載して問題ありません。会社に雇用されていなくても、業務を請け負い、報酬を得て仕事をしていたのであれば、立派な実務経験です。
たとえば、Webデザイン、ライティング、プログラミング、動画編集、コンサルティング、営業代行、事務代行など、個人で案件を受けていた経験は職歴として記載できます。
特に、応募する仕事とフリーランス時代の経験が関連している場合は、積極的に書くべきです。採用担当者は、雇用形態そのものよりも「どのような業務を経験してきたか」「どのような成果を出したか」「入社後に活かせるスキルがあるか」を見ています。
ただし、履歴書の職歴欄はスペースが限られているため、詳細な仕事内容や実績は職務経歴書に記載するのが基本です。履歴書では活動期間や働き方を簡潔に示し、職務経歴書で具体的な内容を補足しましょう。
1-2. 履歴書と職務経歴書で伝える内容の違い
履歴書と職務経歴書は、役割が異なります。
履歴書は、氏名・住所・学歴・職歴・資格・志望動機など、応募者の基本情報を伝える書類です。職歴欄では、いつからいつまで、どのような形で働いていたのかを時系列で簡潔に記載します。
一方、職務経歴書は、これまでの仕事内容や実績、スキルを詳しく伝える書類です。フリーランスの場合は、担当した案件、クライアントの業種、担当範囲、使用ツール、成果などを具体的に書きます。
たとえば履歴書には「個人事業主としてWeb制作業務に従事」と書き、職務経歴書には「中小企業向けコーポレートサイト制作を年間10件担当。要件定義、デザイン、コーディング、WordPress構築まで対応」といった形で詳しく記載します。
履歴書だけですべてを伝えようとすると情報が不足しやすいため、フリーランス経験をアピールしたい場合は、職務経歴書を必ず用意しましょう。
1-3. フリーランス・個人事業主・業務委託・自営業の表記の使い分け
フリーランス経験を履歴書に書くときは、自分の働き方に合った表記を選ぶことが大切です。
開業届を提出して個人で事業を行っていた場合は、「個人事業主として開業」「屋号〇〇として開業」と書くのが自然です。税務上の届け出をしている場合は、個人事業主という表現が適しています。
開業届を出していないものの、企業や個人から案件を受けて働いていた場合は、「フリーランスとして活動」「業務委託にて〇〇業務に従事」と書くとよいでしょう。
特定の企業と業務委託契約を結んで働いていた場合は、「株式会社〇〇と業務委託契約を締結し、〇〇業務に従事」と書けます。ただし、守秘義務がある場合は企業名を伏せ、「IT企業」「広告代理店」「制作会社」など業種で表現します。
家業や店舗経営などに関わっていた場合は、「自営業に従事」「家業である〇〇業に従事」と書くと伝わりやすくなります。
1-4. 応募先が見ているポイント
採用担当者がフリーランス経験を見るときに重視しているのは、主に次のような点です。
まず、応募職種に関連するスキルや経験があるかどうかです。職種に直結する経験があれば、即戦力として評価されやすくなります。
次に、自分で仕事を進める力があるかどうかです。フリーランスは、業務遂行だけでなく、納期管理、顧客対応、見積もり、スケジュール調整なども自分で行うことが多いため、自走力や責任感のアピールにつながります。
また、会社員として働く場合は、組織の中で協調して働けるかも見られます。フリーランス経験は強みになりますが、「一人で自由に働きたい人」という印象だけが強くなると、組織適応力に不安を持たれることもあります。そのため、チームでの連携経験やクライアントとの調整経験もあわせて伝えることが大切です。
2. フリーランス経験を履歴書に書くべきケース
2-1. 正社員・契約社員へ転職する場合
フリーランスから正社員や契約社員へ転職する場合、フリーランス経験は基本的に履歴書に書きましょう。書かないままにすると、その期間が空白期間に見えてしまう可能性があります。
採用担当者は、職歴に空白があると「その間に何をしていたのか」を確認したくなります。フリーランスとして活動していた事実を記載すれば、仕事を継続していたことや、実務経験を積んでいたことを伝えられます。
特に、応募先の業務と関連する経験がある場合は、履歴書で活動期間を示し、職務経歴書で実績を詳しく説明しましょう。会社員経験が少ない人でも、フリーランスとしての案件経験が評価されることは十分にあります。
2-2. 業務委託案件や副業案件に応募する場合
業務委託案件や副業案件に応募する場合も、フリーランス経験は重要なアピール材料になります。
この場合、応募先は「すぐに業務を任せられるか」「納期を守れるか」「自分で進行管理できるか」を重視する傾向があります。過去に同様の案件を受けた経験があれば、信頼につながります。
履歴書には活動期間や職種を簡潔に書き、職務経歴書やポートフォリオで過去の制作物、担当範囲、成果を示しましょう。業務委託では、会社員採用以上に実績が重視されることも多いため、具体的な成果を提示することが大切です。
2-3. ブランク期間を説明したい場合
会社を退職したあとにフリーランスとして活動していた場合、その期間を履歴書に書くことでブランク期間を説明できます。
たとえば、退職後にライターとして記事制作をしていた、知人の会社のWebサイト制作を請け負っていた、家業を手伝いながら事務や経理を担当していたといった経験も、業務内容が明確であれば職歴として書けます。
収入の規模が大きくなかったとしても、継続的に仕事をしていたのであれば、活動内容を記載する価値があります。重要なのは、単に「フリーランス」と書くだけでなく、何の業務をしていたのかを具体的に示すことです。
2-4. 書かないほうがよいケースはある?
フリーランス経験は基本的に書いて問題ありませんが、応募先とまったく関係がなく、かつ短期間の単発活動である場合は、無理に詳しく書かなくてもよいことがあります。
たとえば、会社員として働きながら数回だけ知人の手伝いをした程度で、応募職種とも関連が薄い場合は、履歴書に細かく書く必要はありません。副業として一定期間継続していた場合や、応募先で活かせる経験がある場合に記載するとよいでしょう。
また、守秘義務により詳細を公開できない案件は、企業名やプロジェクト名を伏せたうえで、業種や担当業務を中心に書きます。書けないからといって完全に省略するのではなく、開示できる範囲で経験を伝える工夫が必要です。
3. フリーランスの履歴書における職歴欄の書き方
3-1. 開業届を出している場合の書き方
開業届を提出している場合は、「個人事業主として開業」と記載するのが一般的です。屋号がある場合は、屋号もあわせて書くと活動内容が伝わりやすくなります。
記載例は次のようになります。
令和3年4月 個人事業主として開業
Web制作業務に従事
現在に至る
または、屋号がある場合は次のように書きます。
令和3年4月 屋号「〇〇デザイン」として開業
Webサイト制作、バナー制作、LP制作業務に従事
現在に至る
開業届を出している場合でも、履歴書に税務上の詳細を書く必要はありません。採用担当者に伝えるべきなのは、開業の事実よりも、どのような仕事をしていたかです。
3-2. 開業届を出していない場合の書き方
開業届を出していない場合でも、フリーランスとして案件を受けて働いていたのであれば履歴書に書けます。その場合は、「フリーランスとして活動」「業務委託にて従事」といった表現を使うと自然です。
たとえば、次のように記載します。
令和4年1月 フリーランスのWebライターとして活動開始
SEO記事、取材記事、コラム記事の執筆業務に従事
現在に至る
開業届の有無を履歴書に書く必要は基本的にありません。応募先が知りたいのは、正式な開業手続きの有無ではなく、実際にどのような業務経験があるかです。
3-3. 屋号がある場合・ない場合の書き方
屋号がある場合は、職歴欄に屋号を記載しても問題ありません。ただし、屋号だけでは何の仕事をしていたのか伝わりにくい場合があるため、業務内容も必ず添えましょう。
屋号がある場合の例は次のとおりです。
令和2年6月 屋号「〇〇クリエイティブ」として開業
中小企業向けのWebデザイン、広告バナー制作業務に従事
現在に至る
屋号がない場合は、無理に名称を作る必要はありません。「個人事業主として開業」「フリーランスとして活動」と書けば十分です。
令和2年6月 個人事業主として開業
Webデザイナーとして企業サイト、LP、広告画像の制作に従事
現在に至る
大切なのは、屋号の有無ではなく、活動内容を具体的に伝えることです。
3-4. 廃業・活動終了した場合の書き方
すでにフリーランス活動を終了している場合は、「廃業」または「活動終了」と記載します。
開業届を出していて廃業届も出している場合は、「廃業」と書くとわかりやすいです。
令和2年4月 個人事業主として開業
Web制作業務に従事
令和5年3月 一身上の都合により廃業
開業届を出していない場合や、副業・業務委託として活動していた場合は、「活動終了」と書くのが自然です。
令和3年5月 フリーランスの動画編集者として活動開始
YouTube動画、広告動画の編集業務に従事
令和5年12月 活動終了
「退職」は会社を辞めるときの表現なので、フリーランス活動には基本的に使いません。
3-5. 会社員とフリーランス期間が混在する場合の書き方
会社員として働いていた期間とフリーランス期間が混在する場合は、時系列で整理して書きます。
たとえば、会社を退職後にフリーランスになった場合は、次のように記載します。
令和元年4月 株式会社〇〇 入社
営業部にて法人営業に従事
令和4年3月 一身上の都合により退職
令和4年4月 フリーランスの営業代行として活動開始
法人向け新規開拓営業、商談設定業務に従事
現在に至る
会社員をしながら副業フリーランスとして活動していた場合は、本業の職歴を中心に書き、副業経験は必要に応じて補足します。応募職種に関連する副業であれば、職歴欄または職務経歴書に記載するとよいでしょう。
3-6. 副業フリーランス経験の書き方
副業フリーランス経験は、応募先で活かせる内容であれば書く価値があります。ただし、履歴書の職歴欄に細かく書きすぎると本業の経歴が見えにくくなるため、簡潔にまとめましょう。
例としては、次のように記載できます。
令和2年4月 株式会社〇〇 入社
営業事務として受発注管理、資料作成業務に従事
令和3年6月 副業としてWebライター業務を開始
SEO記事、商品紹介記事の執筆に従事
現在に至る
副業経験が応募職種に直結する場合は、職務経歴書で詳しく説明します。一方、応募職種と関係が薄い場合は、自己PRや備考欄で軽く触れる程度でも構いません。
4. フリーランスの履歴書で使える職歴欄の例文
4-1. 個人事業主として活動していた場合の例文
個人事業主として活動していた場合は、開業時期、業務内容、現在も継続中かどうかを簡潔に書きます。
令和2年4月 個人事業主として開業
Webサイト制作、LP制作、WordPress構築業務に従事
現在に至る
活動を終了している場合は、次のように書けます。
令和2年4月 個人事業主として開業
中小企業向けのWebサイト制作、保守運用業務に従事
令和5年3月 一身上の都合により廃業
職歴欄では詳細な実績まで書き込まず、職務経歴書で案件内容や成果を補足しましょう。
4-2. 業務委託で案件を受けていた場合の例文
業務委託契約で働いていた場合は、「業務委託契約にて従事」と書くと雇用形態が明確になります。
令和3年7月 株式会社〇〇と業務委託契約を締結
自社メディアの記事制作、編集、入稿業務に従事
令和5年6月 契約満了
複数社と取引していた場合は、会社名を一つひとつ書くよりも、活動内容をまとめるほうが見やすくなります。
令和3年7月 フリーランスのWebライターとして活動開始
複数の企業メディアにてSEO記事、取材記事の制作業務に従事
現在に至る
守秘義務がある場合は、会社名を伏せて次のように記載します。
令和3年7月 業務委託にてIT企業のオウンドメディア運営業務に従事
SEO記事の構成作成、執筆、編集を担当
現在に至る
4-3. Webデザイナー・エンジニア・ライターなど職種別の例文
Webデザイナーの場合は、制作物の種類や担当範囲を簡潔に示します。
令和2年5月 フリーランスのWebデザイナーとして活動開始
コーポレートサイト、LP、広告バナーのデザイン制作に従事
現在に至る
エンジニアの場合は、開発領域や使用技術を簡単に書くと伝わりやすくなります。
令和3年1月 フリーランスエンジニアとして活動開始
業務委託にてWebアプリケーション開発、保守運用業務に従事
現在に至る
Webライターの場合は、記事の種類や担当業務を記載します。
令和4年4月 フリーランスのWebライターとして活動開始
SEO記事、取材記事、サービス紹介記事の構成作成・執筆業務に従事
現在に至る
動画編集者の場合は、編集ジャンルや納品物を示すとよいでしょう。
令和3年9月 フリーランスの動画編集者として活動開始
YouTube動画、広告動画、採用動画の編集業務に従事
現在に至る
4-4. 家業手伝い・自営業として働いていた場合の例文
家業を手伝っていた場合も、実際に担当業務があれば職歴として記載できます。単に「家業手伝い」と書くだけでは内容が伝わりにくいため、業務内容を具体的に書きましょう。
令和2年4月 家業である飲食店の運営に従事
接客、売上管理、仕入れ、SNS運用を担当
令和5年3月 一身上の都合により退職
自営業として店舗やサービスを運営していた場合は、次のように書けます。
令和元年6月 自営業としてオンラインショップを開業
商品企画、仕入れ、販売管理、顧客対応、広告運用に従事
令和5年8月 事業終了
自営業や家業の経験は、接客力、事務処理能力、数字管理、顧客対応力などのアピールにつながります。
4-5. 守秘義務がある案件の書き方例
フリーランス案件では、契約上、取引先名やプロジェクト名を公開できないことがあります。その場合は、無理に会社名を書く必要はありません。業種や企業規模、担当業務を中心に記載します。
令和3年4月 業務委託にて大手EC企業のWebサイト改善業務に従事
商品ページのUI改善、バナー制作、効果検証を担当
現在に至る
または、次のように書くこともできます。
令和4年1月 フリーランスのマーケターとして活動開始
守秘義務のある複数案件にて、広告運用、レポート作成、改善提案を担当
現在に至る
守秘義務がある場合でも、担当範囲や成果を抽象化して伝えることは可能です。職務経歴書では「業界」「担当業務」「使用ツール」「成果」を開示できる範囲で記載しましょう。
5. フリーランス向け職務経歴書の書き方
5-1. 職務要約で経験を端的に伝える
職務経歴書の冒頭には、職務要約を入れましょう。職務要約とは、これまでの経験や強みを3〜5行程度でまとめた文章です。
フリーランスの場合、案件数や得意分野、対応範囲を簡潔に伝えると効果的です。
たとえば、Webライターであれば次のように書けます。
フリーランスのWebライターとして約3年間、企業のオウンドメディアやサービスサイトの記事制作に従事してきました。SEO記事を中心に、構成作成、執筆、編集、WordPress入稿まで対応可能です。金融、人材、SaaS領域を中心に累計300本以上の記事制作を担当し、検索流入の増加に貢献しました。
職務要約では、細かな案件をすべて並べるのではなく、応募先に関係する経験を中心にまとめることが重要です。
5-2. 案件・プロジェクトごとに実績を書く
フリーランスの職務経歴書では、会社ごとの経歴ではなく、案件やプロジェクトごとに実績を書くと伝わりやすくなります。
たとえば、次の項目を整理します。
案件名または概要、期間、クライアントの業種、担当業務、役割、使用ツール、成果をまとめると、採用担当者が経験を把握しやすくなります。
記載例は次のとおりです。
【案件概要】人材系オウンドメディアの記事制作
【期間】令和4年4月〜令和5年12月
【担当業務】キーワード選定、構成作成、記事執筆、編集、WordPress入稿
【実績】月10〜15本の記事を継続納品。複数記事で検索上位表示を達成
案件が多い場合は、すべてを網羅する必要はありません。応募職種に近い案件や、成果を示しやすい案件を優先して掲載しましょう。
5-3. 担当業務・役割・使用ツールを具体的に書く
フリーランス経験を評価してもらうには、「何を担当したのか」を具体的に書く必要があります。
たとえば「Web制作を担当」とだけ書くよりも、「要件定義、ワイヤーフレーム作成、デザイン、HTML/CSSコーディング、WordPress構築、公開後の保守まで担当」と書いたほうが、スキルの範囲が明確になります。
使用ツールも重要です。デザイナーであればFigma、Photoshop、Illustrator、Canvaなど、エンジニアであればJavaScript、PHP、Python、React、GitHubなど、ライターであればWordPress、Googleドキュメント、Googleアナリティクス、検索順位チェックツールなどを記載するとよいでしょう。
役割についても、「一人で担当したのか」「チームの一員として担当したのか」「ディレクションも行ったのか」を明記すると、実務での立ち位置が伝わります。
5-4. 売上・PV・CV数・納期遵守率など成果を数字で示す
フリーランス経験を魅力的に見せるには、成果を数字で示すことが効果的です。
たとえば、次のような数字が使えます。
売上、受注件数、制作本数、PV数、検索順位、CV数、問い合わせ数、広告費、改善率、納期遵守率、継続契約数などです。
「記事制作を担当」だけでは成果が見えにくいですが、「月20本の記事を6カ月継続納品」「担当記事の一部が検索上位を獲得」「LP改善により問い合わせ数が増加」と書くと、貢献度が伝わりやすくなります。
ただし、数字を盛りすぎるのは禁物です。面接で詳しく聞かれたときに説明できる範囲で、正確な実績を記載しましょう。正確な数値を公開できない場合は、「前年比約120%」「月間数万PV規模」「複数記事で検索上位を獲得」など、開示可能な範囲で表現します。
5-5. 実績が多い場合は応募先に合わせて絞る
フリーランスとして多くの案件を経験している場合、すべての実績を職務経歴書に載せると、かえって読みづらくなります。応募先に合わせて、関連性の高い実績に絞りましょう。
たとえば、Webマーケター職に応募するなら、広告運用、SEO改善、アクセス解析、CV改善などの実績を中心に書きます。Webデザイナー職に応募するなら、デザイン制作、UI改善、LP制作、バナー制作などを優先します。
採用担当者は、あなたの全経歴を知りたいのではなく、自社で活躍できるかを判断したいと考えています。そのため、応募先の仕事内容に合う経験を前面に出すことが大切です。
5-6. ポートフォリオや制作実績の見せ方
フリーランス経験を伝えるうえで、ポートフォリオは非常に重要です。特に、デザイナー、エンジニア、ライター、動画編集者、マーケターなどは、実績を見せることでスキルを具体的に証明できます。
ポートフォリオには、制作物のURLや画像だけでなく、担当範囲、制作目的、工夫した点、成果も記載しましょう。たとえば、「デザインを担当」だけでなく、「問い合わせ数増加を目的にファーストビューを改善」「スマートフォンでの視認性を重視してUIを設計」と書くと、考え方まで伝わります。
守秘義務がある制作物は、無断で掲載してはいけません。その場合は、公開可能な自主制作物を載せたり、内容を抽象化した実績紹介にしたりしましょう。
6. フリーランス経験を魅力的に見せる自己PR・志望動機の書き方
6-1. 自走力・提案力・責任感をアピールする
フリーランス経験の大きな強みは、自分で考えて仕事を進めてきたことです。自己PRでは、自走力、提案力、責任感を具体的なエピソードとともに伝えましょう。
たとえば、「納期を守って対応した」「クライアントの課題をヒアリングして改善案を提案した」「指示された作業だけでなく、目的に合わせて進め方を工夫した」といった経験は評価につながります。
単に「自走力があります」と書くだけでは説得力が弱いため、どのような場面で発揮したのかを具体的に示すことが大切です。
6-2. クライアント対応や調整力を伝える
フリーランスは、業務そのものだけでなく、クライアントとのやり取りや調整も自分で行うことが多い働き方です。そのため、コミュニケーション力や調整力もアピールできます。
たとえば、要望をヒアリングして制作物に反映した経験、スケジュールを調整しながら納品した経験、修正依頼に対応した経験、複数案件を並行して管理した経験などが挙げられます。
会社員への転職では、社内外の関係者と連携する力が求められるため、クライアント対応の経験は十分に強みになります。
6-3. 会社員転職では組織適応力も補足する
フリーランスから会社員へ転職する場合は、組織の中で働けることも伝えましょう。
フリーランス経験をアピールしすぎると、「一人で働くほうが向いているのでは」「会社のルールに馴染めるだろうか」と見られることがあります。そのため、チームでの制作経験、クライアント企業の担当者との連携、ディレクターやエンジニアとの協業経験などを補足すると安心感を与えられます。
志望動機では、「個人で培ったスキルを、より大きな組織やチームの中で活かしたい」といった前向きな理由を伝えるとよいでしょう。
6-4. フリーランスから転職する理由の伝え方
フリーランスから転職する理由は、ネガティブになりすぎないように注意しましょう。
「収入が不安定だったから」「案件獲得が大変だったから」といった理由だけでは、受け身な印象を与える可能性があります。もちろん現実的な理由として間違いではありませんが、履歴書や面接では前向きな表現に変えることが大切です。
たとえば、「個人での業務経験を通じて、より大規模なプロジェクトにチームで関わりたいと考えるようになった」「継続的にサービス改善に携わり、事業成長に貢献したいと考えた」といった伝え方ができます。
転職理由は、応募先で実現したいことと結びつけると説得力が高まります。
6-5. 自己PR・志望動機の例文
自己PRの例文は次のとおりです。
私はフリーランスのWebライターとして、企業のオウンドメディアを中心に記事制作を担当してきました。キーワード選定、構成作成、執筆、編集、入稿まで一貫して対応し、納期を守りながら継続的に品質を高めることを意識してきました。クライアントの目的を確認したうえで、読者の検索意図に沿った構成を提案することを強みとしています。今後はこれまで培った文章作成力と提案力を活かし、貴社のコンテンツ制作や集客施策に貢献したいと考えています。
志望動機の例文は次のとおりです。
フリーランスとして複数の企業案件に携わる中で、単発の制作だけでなく、サービスや事業の成長に継続的に関わりたいと考えるようになりました。貴社は自社メディアを通じた情報発信に力を入れており、ユーザーに価値あるコンテンツを届ける姿勢に魅力を感じています。これまでのSEO記事制作やクライアント対応の経験を活かし、チームの一員としてコンテンツの品質向上と成果創出に貢献したいです。
7. フリーランスが履歴書を書くときの注意点
7-1. 「退職」「入社」など会社員向け表現を誤用しない
フリーランス経験を書くときは、会社員向けの表現を誤って使わないようにしましょう。
会社に雇用された場合は「入社」「退職」と書きますが、個人事業主やフリーランスとして活動していた場合は「開業」「活動開始」「廃業」「活動終了」「契約満了」などの表現が適しています。
たとえば、個人事業主として働いていた場合に「退職」と書くと違和感があります。業務委託契約が終わった場合は「契約満了」、フリーランス活動を終えた場合は「活動終了」と書くと自然です。
7-2. 案件名や取引先名の守秘義務に注意する
フリーランスの履歴書や職務経歴書では、守秘義務に注意が必要です。契約で公開が禁止されている取引先名、案件名、売上情報、内部データなどを無断で記載してはいけません。
実績をアピールしたい場合でも、公開可能な範囲にとどめましょう。たとえば、企業名を伏せて「大手通信会社」「人材系メディア」「BtoB SaaS企業」などと表現する方法があります。
面接で詳しく聞かれた場合も、守秘義務があることを伝えたうえで、開示できる範囲で担当業務や成果を説明すれば問題ありません。
7-3. 実績を盛りすぎない
フリーランス経験を魅力的に見せたいからといって、実績を大きく見せすぎるのは避けましょう。
たとえば、自分は一部の作業だけを担当したにもかかわらず、プロジェクト全体を一人で担当したように書くのは危険です。面接で深掘りされたときに説明できなければ、信頼を損なう可能性があります。
成果を書くときは、自分の担当範囲を明確にしたうえで、事実に基づいて記載しましょう。「チームの一員として担当」「デザイン部分を担当」「記事構成と執筆を担当」など、正確に書くことが大切です。
7-4. 空白期間に見えないよう活動内容を明確にする
フリーランス期間を曖昧に書くと、採用担当者に空白期間と受け取られることがあります。
たとえば、「令和3年4月 フリーランスとして活動」とだけ書いても、何をしていたのかが伝わりません。「WebライターとしてSEO記事の執筆に従事」「業務委託にてWebアプリケーション開発を担当」など、職種や業務内容を明確に書きましょう。
収入が少なかった期間や案件が少なかった期間がある場合でも、スキル習得、ポートフォリオ制作、営業活動、資格取得など、仕事に関連する活動があれば職務経歴書や自己PRで補足できます。
7-5. 履歴書だけでなく職務経歴書も準備する
フリーランス経験をしっかり評価してもらうには、履歴書だけでは不十分です。履歴書の職歴欄は簡潔に書くものなので、案件内容や成果、スキルを十分に伝えられません。
職務経歴書では、案件ごとの担当業務、使用ツール、成果、工夫した点を具体的に書きましょう。クリエイティブ職やIT職の場合は、ポートフォリオもあわせて提出すると効果的です。
履歴書で経歴の流れを示し、職務経歴書で実務能力を伝え、ポートフォリオで成果物を見せる。この3つを組み合わせることで、フリーランス経験の説得力が高まります。
8. フリーランスの履歴書に関するよくある質問
8-1. フリーランス期間は職歴に含める?
フリーランス期間は職歴に含めて問題ありません。業務を請け負い、報酬を得て仕事をしていたのであれば、実務経験として記載できます。
特に、応募職種に関連する経験がある場合や、会社員を辞めたあとの活動を説明したい場合は、職歴欄に書いたほうがよいでしょう。履歴書では活動期間と業務内容を簡潔に示し、職務経歴書で詳しく補足します。
8-2. アルバイトや派遣と並行していた場合はどう書く?
アルバイトや派遣とフリーランス活動を並行していた場合は、時系列で整理して書きます。主な収入源や応募職種との関連性を考え、重要度の高いものを中心に記載しましょう。
たとえば、派遣社員として働きながら副業でWebデザインをしていた場合、応募先がWebデザイン職であれば、副業経験もアピール材料になります。
令和3年4月 株式会社〇〇に派遣社員として就業
一般事務、データ入力、資料作成業務に従事
令和4年1月 副業としてWebデザイン業務を開始
バナー制作、LPデザイン業務に従事
現在に至る
職務経歴書では、それぞれの業務内容を分けて記載するとわかりやすくなります。
8-3. 短期間の案件も履歴書に書くべき?
短期間の案件をすべて履歴書に書く必要はありません。履歴書の職歴欄に細かな単発案件を並べると、かえって読みづらくなります。
短期案件が多い場合は、「フリーランスとして複数案件に従事」とまとめて書き、職務経歴書で代表的な案件を紹介しましょう。
ただし、応募先に強く関連する案件や、大きな成果を出した案件であれば、短期間でも職務経歴書に記載する価値があります。重要なのは、期間の長さよりも、応募先で活かせる経験かどうかです。
8-4. 確定申告や開業届の有無は書く必要がある?
履歴書に確定申告や開業届の有無を書く必要は基本的にありません。採用担当者が知りたいのは、税務手続きの詳細ではなく、実務経験やスキルです。
開業届を出している場合は「個人事業主として開業」と書けますが、出していない場合でも「フリーランスとして活動」「業務委託にて従事」と表現できます。
面接で聞かれた場合は、事実に沿って簡潔に答えれば問題ありません。履歴書では、活動期間、業務内容、成果を中心に記載しましょう。
8-5. フリーランス経験しかない場合でも転職できる?
フリーランス経験しかない場合でも、転職は可能です。大切なのは、応募先が求めるスキルや人物像に対して、自分の経験をどのように活かせるかを伝えることです。
会社員経験がない場合は、組織で働いた経験が少ない点を不安視されることがあります。そのため、クライアントとの連携経験、チームでの制作経験、納期管理、報告・相談の習慣などを具体的に伝えましょう。
また、フリーランスとして自分で仕事を獲得し、納品まで責任を持って対応してきた経験は、自走力や責任感の証明になります。応募先に合わせて実績を整理すれば、十分に評価される可能性があります。
まとめ
フリーランス経験は、履歴書の職歴欄に書いて問題ありません。会社に雇用されていなくても、業務を請け負って働いていた経験は実務経験として評価されます。
書き方のポイントは、自分の働き方に合った表現を選ぶことです。開業届を出している場合は「個人事業主として開業」、開業届を出していない場合は「フリーランスとして活動」、特定企業と契約していた場合は「業務委託にて従事」といった表現が使えます。
また、フリーランス活動には「入社」「退職」という表現が合わない場合があります。活動開始、開業、契約満了、廃業、活動終了など、状況に応じた言葉を使いましょう。
履歴書では職歴を簡潔に示し、職務経歴書では案件内容、担当業務、使用ツール、成果を具体的に書くことが大切です。実績が多い場合は、応募先に関連するものを中心に絞り、必要に応じてポートフォリオも用意しましょう。
フリーランス経験は、自走力、提案力、責任感、クライアント対応力を示せる強みです。正しく整理して履歴書や職務経歴書に記載すれば、転職や案件応募で十分なアピール材料になります。

